『日本の恋歌とクリスマスー短歌とJ-pop』書評掲載ー角川『短歌』6月号
2022-06-03
「・・・文化論である。あるいは文明批評というべきか。」「『待つこと』の復権」
「待つという行為には生きることの本質が詰まっているいうのがその主張だ。」
角川『短歌』6月号(P222)に1頁を費やした書評を掲載いただいた。昨年の「クリスマス・イブ」に合わせて出版した著書も半年間を経て、一定の方々に読んでいただいたことだろう。まずは冒頭の一部抜粋に引用したように、丁寧な書評をお書きいただいた雲嶋聆氏に深く感謝を申し上げたい。「文化論」という評価は既に自著の帯の俵万智さんの文にもあるが、さらに踏み込んで「文明批評」と言ってのけていただいたのは誠に光栄の極みである。「どんなに通信手段が高速になったとしても、恋は『待つこと』なくして成立しない。」という部分も引用されている。まさにスマホによる情報過多な世情の中においても、このほぼ2000年もの間に人間が歩んできた文明の中で変わらずに「待つ恋」が大切な過程であるという趣旨を書いた点に注目いただいた。その具体例として「クリスマスと恋の結びつきについては、結び方そのものに焦点を当てて論が進められる。」とあり、この社会に定着した年中行事の「文明性」を論じていることをあらためて自覚させられた内容である。
書評後半には、自著の「魅力」を「『恋とは何か』『生きるとは何か』という本質論にまで触れようとしている点」と「短歌批評の方法をJ-pop歌詞の分析に応用して見せたことに集約されると思う。」とある。さらに、1990年以降のJ-pop歌詞を「分析の俎上に載せたらどのように論を展開できるか気になった。」という展開への注文をいただいた。現在、この自著の元となった担当基礎教育科目「日本の恋歌ー和歌短歌と歌謡曲」では、演歌や1990年代以降の曲にも焦点を当てて、さらなる更新を目指している。「同時代歌人と歌手」との比較なども、自分自身でも今後の展開に取り込みたい大きなヒントをいただいている。そして書評の結末には、「宮崎という土地の持つ意味について東京との対比で論じられているが」とあり、「伊藤一彦にとっての宮崎」と「前登志夫にとっての吉野」を比較したら何が見えてくるかという問題提起もなされている。あらためて「地方と歌人」「土地と歌人」という点は自分自身の中でも大きなテーマであることに気づかされた次第である。「様々な可能性を孕んだ批評が展開された、刺激的な一冊」と書評の結末は締め括られているが、自分自身があらためて自著から「刺激」を受けつつ、次なる展開を考えたくなるありがたき書評であった。
再び半年後の今年の「クリスマス」に向けて
講義はさらなる進化を目指して進行中
書きたいことを書きたいように書かせていただいた出版社・編集部にあらためて深謝。
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