なぜ覚えられているのか?ー馴染みになるためのことば
2022-05-28
飲食店をはじめあらゆるお店などで些細な一言が心をつなぐ契機になる
しばらく行けなかったお店の笑顔の嬉しさ
しばらく行けていなかった街中のうどん屋さんに行った。かつて教育実習委員会副委員長を担当していた頃、仕事の用件で頻繁に附属学校に行く必要があり、その頃から大変にお店のご夫婦と親しくなった。たぶん間違いなくその天ぷらは宮崎でも指折り、東京なら2倍の値段でも売れる人気商品だろう。天丼としてあるが具材は海老のみならず各種野菜にきのこ類まで、ほとんど天ぷら盛り丼と呼んだ方がよい絶品だ。現に皿に天ぷらを盛っておにぎりが付く選択も可能、痩せた海老に幻滅するチェーン系丼とは大違いの個人経営店である。この日は久しぶりに妻と出向いたが、いつもと変わらず笑顔で奥様が迎えてくれた。前述したような美味しさゆえに昼時などは入店するのも困難で、限られた駐車場に入庫させるのにも苦労する。それでも何より、奥様の対応とカウンター内で調理している旦那さんの素朴な表情に惹かれる。
よく妻や友人に「なぜそんなにお店の人と仲良くなるのか?」と問われることがある。自分でも「なぜ?」はよく分からない。だがたぶん会計の際やちょっとした折に、何らかの一言を投げかけるからだと思う節はある。この日も「久しぶりですね」という奥様に、「ここのところオンライン会議も多くてね」とやや言い訳めいてあまり街まで出てこない理由を告げた。長くダラダラと話すのもお店には迷惑、その時の事情や時節を捉えた最短で効果的な内容が大切である。同時に事務的な言葉ではダメで、相手の心の琴線に触れる言葉が必要だと思う。とはいえ何も技術的・作為的に、そんな一言を投げかけているわけではない。あくまで自然に出て来る一言であることが肝要だ。子どもの頃に父母と買い物や飲食店に行くと、会計後などに母が何やらお店の人と話しているのが気になっていた。当時は引っ込み思案だった僕は「なぜお金を払ったのに話を続けているのだろう?」と不思議にも思った。だが年齢とともに話すのが大好きになった僕は、当時の母と同じことをしているように思う今日この頃である。
馴染みになりたい宮崎のお店
どこも人々の優しさに満ちている
Web上の無機質な世界とは違う人と人との温もりを大切にしたい。
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