1首のために集う意義ー第369回心の花宮崎歌会
2022-05-15
未だ収まらぬ県内感染者の増加はあれど1時間限定として開催された対面歌会
1首のために集える意味を噛み締めて
宮崎県内の感染状況は再び増加傾向で、8日連続で前週比増となり14日は550人の感染が発表された。直近1週間の人口10万人あたりの感染者数は「345.18人」となって、沖縄・北海道に続く全国3位。GW明けの5/6には「185.21人」であったのが、この1週間で倍近くに跳ね上がった。山梨・愛媛・徳島・長野・山形・鳥取・島根あたりの県が人口10万人あたりを「150人以下」に抑えていることから考えると、地方としては誠に高い数字であり警戒を緩めるわけにはいかない。このような事情でこの日の歌会も開催如何が事務局で検討されたようだが、やはり1ヶ月に1回は対面で集う意義を重視して1時間限定ながら歌会が開催された。出詠45首、欠席もやむなく目立ったようだが、それなりの人数が中央公民館大研修室に集った。その部屋の雰囲気、いつもの面々が揃うということ。毎月20日の〆切に向けて歌を提出し、此処に集うことの深い意義をあらためて感じさせられる。
1時間という時間限定ということもあり、高点歌に限定しての歌評となった。個別の歌に言及することは控えるが、いずれも素朴な中に心を絡め取られる要素がある歌と言ったらよいだろうか。また多様過ぎるのも問題はあるが、解釈が限定されず広く読める歌であることも重要である。描写された光景が「寂しい」と読むのか?「納得」と読むのか?議論が分かれた歌があったが、伊藤一彦先生の歌評では「その双方の意味合いを含むのではないか」という指摘もあった。ということは当該歌が、実に微妙に「葛藤」を表現していることになる。「素朴」だけでは読んだ際に「そうですか」と通り過ぎてしまうが、「心を絡め取られる」というのはこうした「対立」する感情を読者が抱くということではないだろうか。とりわけ歌の中で肝となる喩の中に、そのような多様な対立が読める歌には、自ずと互選票も多いように思われた。歌会そのものはご欠席であったが俵万智さん・大口玲子さんの5首選も発表され、短縮ながら意義深い歌会はお開きとなった。
1首のために集う歌仲間
伊藤一彦先生の弁に学ぶ奥深さ
ありがたきかな宮崎歌会
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