あの日の角帽と学生服
2022-04-05
大学入学式には角帽と学ラン大学創立100周年の年に多くの先輩たちに連なる思いで
人生の大きな分水嶺を思い返し新しい学生を迎える
所属大学は3年ぶりに、対面での入学式を挙行することができた。参列は新入生と教職員のみ、これも新型コロナ対応なのであるが「18歳成人」となった今や、若者の自立として感染症にあらずとも考え直してみるべき時なのかもしれない。入学式は宮崎が国際的会議場として誇る「シーガイアコンベンションセンター」で挙行されるので、大学キャンパスが賑わうというわけではない。ようやく午後になってキャンパスを歩く新しいスーツ姿がわずかに見られるようになり、郵便局へ振込に行けば、親にATMの使用法を指南される新入生の姿を見かけた。いずれにしても新入学というのは、教員をしてきた人生の中でも誠に胸が高鳴る1日なのである。今年度は、国語教育講座の中での輪番にて新入生支援教員となる。中高で言えば担任のような存在であり、とりわけ新入生との出逢いが楽しみである。その機を活かし「大学教育はいかにあるべきか?」という点を再考することも少なくない。小学生の頃から何事も手取り足取りの風潮の世の中で、自ら学ぶとは何かを教えなければならない。
入学式の様子を見ると、ほとんどの学生が例外なく同様なスーツ姿である。スーツ販売の店では「新入生セット」のようなディスプレイまであって、鞄まで含みハンコを押すようにセット販売されている。就活の際もまた同じ、この国の「横並び教育」を象徴するような光景を可視化できる。かくいう僕はというと、遥かなる年月が過ぎたあの日の大学入学式には角帽と学ランで臨んだ。東京在住ながら入学した大学に誰一人知り合いはおらず、大海の中に投げ込まれたような気持ちになった。だが思いはブレることなく、この角帽と校章付釦の学ランはこれまで100年間に渡り多くの文学を志した先輩たちも着たはずだという思いが強かったように思う。今思えば、その100年の歴史の中に若山牧水も居たというわけである。奇しくも創立100周年の年に入学、秋には体育祭の体操競技に出場し記念メダルを貰い、記念展には書道作品が展示された。あの時は強烈に意識してはいなかった「先輩・若山牧水」に宮崎でこれほど惚れ直すことになるとは。あの日の角帽を今一度眺めつつ心新たに、更なる新しい野望に向かう年度にしたいと思う。
人生はいかに自立するか
そして志と野望を持ち続けるか
混迷の時代であるが新入生に豊かな学びを提供していきたい。
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