調和を維持する能力ーゼレンスキー大統領演説に思う
2022-03-24
チェルノブイリ原発化学兵器・核
市民被害者そして津波と復興
ウクライナのゼレンスキー大統領が我が国の国会議員を前に演説をするとあって、予定時間前に帰宅してWeb配信をTV接続にして待機した。この演説を国会が受け入れるかどうかについては、紛争国の一方側のみの演説であることなどが議論されたとも報道で知った。周知のようにロシア側は、日本との平和条約交渉を制裁に反発し打ち切り、北方領土返還交渉などが遠のいてしまったことも考え併せなければなるまい。その上で、人道的にも許されるべきではない侵攻・攻撃に対して「平和」をどこよりも世界に訴えねばならない我が国が、その悲惨な状況への訴えに耳を傾ける必要性も強く感じる。Web中継は「同時通訳」で口頭で日本語訳が流れたので、真の趣旨はどうなのだろう?といささか懐疑的でありつつも、的確な内容と思いつつ約15分間ほど続いた。米国議会での演説を報道で聞いていたので、聞く側が奮い立つようなものを予想したが、至って調和のとれた内容であったことが大変気になった。おそらくはゼレンスキー大統領の演説は、演説の対象となる国の特徴に適応した内容・方法を戦略的に採用しているように思える。まさに聞く側の立場に立つという、演説の基礎基本が踏まえられていたとも言えよう。
標題のように「日本には調和を維持する能力」があると、ゼレンスキー大統領は訴えた。演説そのものの姿勢に、それを体現して盛り込んだ。そこが元俳優である彼の演出の際立った点である。もちろん側近のブレイン・ライターがいることも指摘されているが、国ごとに演出を変えることを実に巧みにこなしており、世界の指導者を見回してもそうそうこうした演説力を持った者は稀少だ。さらには、冒頭に記したのが演説に盛り込まれた要点であるが、実に我が国の抱え込む歴史的な内容の問題提起であった。ここ最近の国内報道でも、地震による電力逼迫や新潟・柏崎刈羽原発の杜撰すぎる管理体制が目立った。3.11から11年を経ても、こうしたエネルギー問題に対応できていない現状を僕たちは目の当たりにした。また、3.20地下鉄サリン事件から27年の報道も忘れるべきではない。もちろん広島・長崎から核兵器廃絶への市民の声を世界へ届け続けることは永遠の課題であり責務である。ゼレンスキー大統領の演説は、さらに「市民被害者」に言及し「津波」のように押し寄せる攻撃の理不尽さや悲惨さを訴えた。そしてどの観点にも「復興」への希望が盛り込まれていたように思う。「調和のとれた」冷静な演説でありながら、実は我が国が抱え込む問題を暗黙に炙り出していたとも言える。「調和の維持」が安易な妥協の上にあってはならないことを考えさせられた。ウクライナ危機は、世界の危機である。国連が平和的な解決に未だに機能しないことへのゼレンスキー大統領の訴えを、僕ら地球人ひとり一人が真摯に受け止めねばならないだろう。
戦争への悔恨と平和への祈り
核兵器・原発・サリン・津波〜我々がこの国で経験した災禍
市民ひとりの命が尊ばれる21世紀を20世紀は予想していたはずなのだが。
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