すべての子どもたちに文化体験を贈りたいー「正しさ」の脅迫
2022-02-24
「私たちは『正しさ』に怯えてはいないか?」自分の身体が喜んでいる体験をしよう!
「食べる」「舌で味わう」ようにどこで生まれても豊かな体験を
「劇団こふく劇場」代表の永山智行さんのお声掛けで、標題のような「おしゃべりの会」があるというので県庁まで赴いた。クラシックな煉瓦づくりの県庁5号館、そのホールに炬燵を出してみんなで宮崎の文化や課題を語り合おうというアーツカウンシル宮崎が主催する企画の一つである。冒頭のような内容で永山さんが口火を切った。社会全体が「正しい」こととは何か?と怯えているようだと云う。「正しいマスクのつけ方」「人が集まるのは?飲食をするのは?」所謂「空気を読め」というような社会的な同調脅迫のような社会の傾向が、長引くコロナ禍によりさらに強まっている印象だ。例えば、今回リーディング劇を企画開催し役者として参加したが、この状況下で「正しい?」のかどうか。否、それは「正しい」という尺度ではなく、参加する観覧する個々人が多様にどのように生きているか?という問題である。この状況をもってしてもやりたいものがある、やるべき価値がある。「正しい」のではなく、360度全方位球体の中で自分はどのような位置にいるか?を知る相対的で広い視野が必要だろう。
5年以上前になるだろうか、宮崎赴任後からの3年から4年ぐらいはよく「芸術家派遣事業」に参画し、朗読・落語・読み語りなどを主に小規模校を中心に届けていた。自らの音読・朗読研究の延長線上における社会的な視野の実践でもあった。この日の企画者である永山智行さんともともに小学校で演劇・表現ワークショップを実施したこともある。僕自身も演劇的な表現を小学生らとともに実施することで、かなり勉強になる機会であった。ところがある中学校に親友の落語家とともに行ったところ、生徒たちは廊下は「無言移動」、会場に来ても整列し姿勢を崩さず抑圧的な指導が為され、落語が始まっても「笑える」雰囲気がまるっきりなかった。「(外部から来た)落語家の先生が一生懸命喋っているから、笑い声など上げずに聞きなさい」といった雰囲気だった。忍耐強い親友の落語家もさすがに、早々にその学校公演を引き揚げたいという感じであった。以上がこの日に僕が発言した体験談であるが、まずは「学校現場を柔らかく」せねばなるまい。「鑑賞教室」は形骸化した行事ではなく、子どもたちが豊かな笑顔になる機会である。学校には笑顔と笑い声が必須だ。今「正しさ」の脅迫が、子どもたちから笑いを奪っている。それゆえに大量教員退職時代を迎え、教員養成で学ぶ学生たちにこそ笑顔にできる「芸術体験」を理屈ではなく実践として学ぶべきと思いを新たにする機会となった。
笑い声に溢れる学校を
抑圧はさらなる抑圧を生み、「いじめ」への連鎖を生じる
この日に集った宮崎の仲間、みんなで「ひなた笑顔」のある宮崎にしてゆきたい。
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