牧水を再発見する(1)
2022-01-24
牧水の祖父・若山健海医師として宮崎の福島邦成と親交
二人して県内初の種痘を行うなど
この日は宮崎市長選挙、一日中雨のせいもあってか投票率は38.76%、夕刻に訪れた投票所も閑散とした印象であった。新型コロナ禍によって保健所をはじめ行政のあり方が問われている。再び第6波の高波が押し寄せて来ているが、ワクチン3回目接種のいち早い対応が求められる。己の身に降りかかる利害がありながら、市民の6割以上が市長選挙の投票に行かないのは甚だ遺憾である。夜になって当確の報が入り、次期市長は新人候補で職業は医師の方に決まった。新型コロナで浮き彫りにされた宮崎市の医療を始めとする生活の安心を、今後はどれほどに高めてくれるか新しい視点を期待したい。先日、本学医学部の知り合いの先生と雑談していると、予想もせず「若山健海」の名前が出て来た。「俳句だか短歌だかで有名な人の祖父に当たるらしいですね」と、むしろ牧水についてははっきりとご存知ではないようであった。しかし医学部の講義では、「若山健海」の名を必ず教えるのだと云う。
埼玉県所沢市出身の「若山健海」は、江戸時代に長崎で医術を学び縁あって日向国へ来て医師をしていた。現在の宮崎市あたりの事業家・福島邦成とともに、県内初の種痘ワクチンに着手している。福島については、現在の市内中心部の橘橋の初代にあたる「木橋」を造った人としても有名であるらしい。健海の息子「若山立蔵」も父親を継いで医師となり、牧水の生家となった日向市東郷村坪谷に住みつつ、都井(岬)など当時の無医村に診療に赴くなど医療面での貢献度は高かった。そして姉が3人いる牧水が待望の「医師3代目」として父「立蔵」と延岡藩の士族の出である母「マキ」の間に生まれることになる。これだけを考えると現在であっても「牧水(本名=繁)」に医師を継げという期待が、親族や周辺から高まるのは必然と思える。文学を志して早稲田に進学する際から、牧水はその家における大きな葛藤を抱えていた。牧水と故郷・宮崎を考える際には、あらためて深く考えておくべき要点である。
故郷が抱え持つ苦悩
宮崎→東京→静岡(沼津)
「余所者」としての思いと「あくがれ」の人生の旅。
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