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知識いや感銘を与えて実践へ

2022-01-15
「知識を与えるよりも感銘を与えよ。
 感銘せしむるより実践せしめよ。」
(坪内逍遥の名言・真山知幸氏「今日1日を楽しむための名言」メルマガより)

Webの普及は、我々が一生に接する情報・知識量を莫大に増加させたと云われている。今や高齢の方から子どもまで例外なくスマホを所有していることから考えると、人生そのものが変わったといっても過言ではないだろう。スマホが無かった時代を生きた経験がある人と、物心ついた時からスマホが身近にある人では自ずと情報・知識に対する見方が違うのではないかと思う。ここ5年ぐらいの学生の傾向として、卒論や講義発表・レポートなどの調べ先としてWebサイトがかなり増加した。然るべき調べ先であれば問題ないが、周知のようにWeb上の情報・知識は玉石混交、時にまったくお門違いのサイトで調べた情報で物を言う学生も少なからずいる。特に「古典」に関する内容を、まったく現代の感覚のみで調べようとするのはWebの弊害か古典教育の頽廃かとこちらの責任さえも痛感させられる。大学附属図書館にある限られているが確かな情報・知識とWeb上の精選される眼を必要とするものへの向き合い方では、大きく異なることを最低限は自覚してほしいものだ。とはいえ小欄を含めてWeb上の「自由な」情報・知識を、もはや止めることはできない。小欄に記されている内容でも、全方向全視野のある確かなものであるわけではない。

このように考えると「学校」特に大学のあり方も考え直さねばなるまい。情報・知識そのものではなく、それを精選できる眼が持てるように育てることが肝要だ。僕の担当科目でいえば「文学史」などは、最も意識して内容を考えるべき講義である。冒頭に記したのは、親友のフリーライター真山氏のメルマガにあった坪内逍遥の名言。彼はここのところ間髪入れず新刊本出版を連続でこなしており、「仕事師」という意味でも見習いたい存在だ。逍遥は言わずと知れた明治時代の文学者で早稲田大学での「文学論」などの名講義は有名である。かの若山牧水も入学直後から「逍遥先生の文学談」を大変に面白く学びの多い科目として楽しみに受講したとする記録が見える。明治時代当時は、西洋由来の情報・知識が急速に輸入され氾濫した時代であっただろう。舶来かぶれをしてもおかしくない時代でありながら、「知識」よりも「感銘」さらには「感銘」よりも「実践せしめよ」と言い切っている。Webが洋の東西などの枠も撤廃した現在、あらためてこの逍遥先生の言葉を今一度噛み締めるべき時かもしれない。教育学部で特に「国語教師」を目指す学生らに携わるゆえ、「感銘」して「実践」できる人材を育てなければなるまい。

小中高も活動のある「実践」型へ
「国語」ではまず「感銘」を与えたい
Web上の知識のみでは自らの臓腑に落ちては来ない。


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