小さな可能性を摘まず恐れずー大谷翔平のMVPに寄せて
2021-11-20
降水確率10%にあなたはどうするか?科学で解き明かされることと思いと
多くが人の思い込みで踏み出せないことがある
大谷翔平選手がMLBにて、シーズン最優秀選手(MVP)に満票で選出された。BaseBallに精通した記者らによる投票で決まるこの受賞は、優勝チームなどにも拘らず1シーズンを通して最も「価値があった」とされる選手に贈られる。日米問わず情報戦とも言える状況下で、データ上でも記者らの印象という意味でも「最優秀」となることは大変なことだ。日本では優勝チームから選ばれる印象が拭えないが、シーズンを勝ち上がるチームに居た方が勝ち星や個々のモチベーションにおいて有利であるのは自明である。それを翔平は、シーズン途中から優勝の可能性は低くなってしまったチームで成し遂げた点もむしろ「最も価値がある」と言えるかもしれない。そのひたむきなトレーニングへの姿勢、もちろんデータ解析による自己分析や睡眠時間の重視など管理も怠らない。だが何より「困難も楽しむ」というような彼の野球への向き合い方、「MLBで二刀流で成功するわけはない」という長年の多くに人々の思い込みから自由に取り組んだ「こころ」がこの栄誉の原点であるような気がする。小さくとも自己の可能性を信じ続けることである。
いつ頃からなのだろう?天気予報に降水確率が示されるようになったのは。小欄をお読みいただいているみなさんは、確率何%であれば傘を持つだろうか?50%でも持たないという人もいれば、10%でも持つという人もいるだろう。野球は確率の競技とも言えるが、数字の裏側を読む力も求められる。3割打者なら大変に優秀な打者であると評価されるが、その裏に7割の凡打(失敗)が潜んでいるのだ。要するに降水確率50%であれば、50%は「雨は降らない」とも読める。(気象予報の専門や確率論からすると誤りかもしれないが)少なくとも「文学」などを専門とする僕などには、そんな反転に意義を見出そうとする。どうしても「数字」のみでは計れないものがあるのではないか?などと考えることが少なくない。翔平の話題に戻るならば、彼のグランドでの小さなゴミまで拾うような態度やメディアへの誠実でユーモアある対応など、「こころ」の面が文化の違う米国球界にも賞讃されているようにも思う。決して「確率の計算高い」だけの人間ではないような面があってこその「最優秀」なのではないか。「既存」に囚われない彼のさらなる飛躍から目が離せない。
容貌そのものも「自身を貫く」
「既成概念」に縛られず向き合う姿勢
人生は挑戦しなくては楽しめないはずだ。
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