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第363回「心の花」宮崎歌会ー助詞と語順構成

2021-11-07
旧来の2時間半で41首
講義形式の座席・手指消毒・マスク
多くの意見が交流する歌会へ向けて

月例第一土曜日は「心の花宮崎歌会」、これまで感染状況にも翻弄されながら通信投票などの苦労も重ねて継続されてきた。あらためて、事務局で詠草・投票・連絡などに関係している方々に深い感謝を申し上げたい思いだ。そして感染状況の改善に伴い、1時間半などに短縮し互選評と選者評のみに要点を絞って展開する形式から、従来の様々な議論が展開する形式を模索する段階まできた。未だ座席は講義形式の着座をお願いしているので、大学講義と同様になかなか前に着席する人が少なく、意見が消極的になりやすい。どうもこの「語る人」「聞く人」と分断してしまう講義形式の着座には、対話をする上での物理的欠点があるのだと思う。今回も司会を仰せつかったが、「ご意見をどうぞ」と求めるが沈黙の時間も目立った。小中高の授業でもそうだが、「先生の正解を待つ」という誤った気持ちを講義形式の着座は助長する。「国語」の授業でも「先生の考えも一解釈で絶対的ではない」ことを常識にすべきと思うが、歌会でも「選者の意見が正解」であるとは考えない方が良いように思う。そこに短歌の解釈の多様性と魅力があるのではないか。

従来は四十人の車座というか、大きな長方形を組んで自由で多様な意見が出ていた宮崎歌会。新型コロナによって、この利点を失うわけにはいかない。時間はたっぷり2時間半まで回復したので、ぜひ次は車座の形式と積極的な会員諸氏の意見が復活することを望む。さて出詠41首、互選最高得票は5票、以下3票3首、2票5首、1票14首、可能性無限大18首という投票結果である。選者は伊藤一彦・俵万智・長嶺元久の3名、選者の5首選も最後に発表される。今回の歌会の評で目立ったのは助詞の使い方、「に」「と」は説明的になり、「の」では曖昧なので「を」ではないかなど、やはり短歌にとって助詞こそが勝負所ではないかと考えさせられた。俵万智さんの的確な推敲案にいくつも納得する機会があったが、やはり俵さんの歌作りは助詞への徹底的なこだわりがあるのだと痛感する。助詞一つで「詩を詠う」はずが、「散文的説明」になってしまうのだ。また伊藤一彦さんから指摘さた、結句の重要性も深く考えさせられた。例えば下の句の「七・七」を反転させるだけで、結句に来る詠物が圧倒的に焦点化される。上の句下の句の入れ替えなどを含めて、短歌の構成という点にも推敲段階で多様にこだわりたいと痛感する。その構成・見せ方が上手くいっている歌はやはり互選票も選者票も得ているようである。また動詞で表現するか名詞で表現するかも、推敲の大きな要点であることが具体的な歌を通じて語られた。やはり宮崎歌会は、学ぶところ満載な歌会である。

月に1回でも歌の仲間と会えること
マスクながら顔を突き合わせ歌が語れること
今後の感染状況を考慮の上だが、あとは懇親会の復活が待たれるところである。


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