テーマ詠「紫」ー宮崎大学短歌会11月歌会(1)
2021-11-06
この季節に考える「紫」という色「高貴な色」はてまた「痛みを伴う」のか
「柴」「梨」「紫」の誤字にまつわる歌も・・・
宮崎大学短歌会11月第1回目の歌会を開催、出詠7首、参加者5名によるオンライン開催であった。テーマ詠「紫」ということで「色」のイメージをどう詠むか?現在の「秋」という季節とともに諸々と考えさせられる歌が多かった。素材としては「ぶどう」「スカートの色」「秋桜」「紫煙」「紫式部」「霜焼け」「ねるねるねるね(どうやら菓子の名前らしい)」などであった。「ぶどう」や「秋桜」の紫色は、やはりこの季節にこそ詠みたくなる素材かもしれない。朝晩のやや冷んやりした空気感と、日中の陽光の断層を感じる一日。季節は植物を「紫」という微妙な色に染め上げていくのだろうか?ファッションに関しても秋冬物というのは多様な色が楽しめるが、それだけに冒険できる色というか、原色をはみ出した色使いが気になるということだろう。僕自身はかなり以前に「真紫のニット」を思い切って購入して、結局は職場にも普段使いにもしづらくほとんど着なくなってしまった経験がある。
「紫煙くゆる」という言い方を久しぶりに聞いた。僕などが幼少の頃は、周囲に煙草の煙があるのが当たり前であった。テレビや映画でも「刑事」は必ずと言ってよいほど「煙草」を咥えて捜査室でも現場の張り込みでも行なっていた。事件が解決すれば煙草を吸って夕陽の中を歩く刑事たちが、お決まりだっただろう。ちょうど僕らが大学生の頃だろうか、やや「禁煙」が社会的に囁かれ始めた時代であった。就職すると既に職員室が「禁煙」であり、「喫煙室」という隔離が意識され始めた時代。先輩に話を聞くと、その昔は職員会議でもムンムンの「紫煙」の中を長時間にわたり議論をしていたらしい。学校という話題なら、試験の「誤答」は教師ならではの「コレクション」とも言えよう。「作者を答えなさい」は「サービス問題」だと思って教師は出題するが、生徒らは誤字だらけで正答の方が少ないほど。僕の経験では『徒然草』の作者は「鎌好」「嫌好」「謙好」などとあって、よく同僚の国語教員と「珍答自慢」を職員室で話したものだ。さて、好ましい物の一方で「身体的な紫」は痛い色であろう。内出血・打撲・捻挫・腫れなど、「青白い」という趣旨に近い。青なのか赤なのか紅なのか黄なのか?その混濁の中にある稀少さが高貴にも連なったということだろうか。
想像させる情景がカラーであること
視覚に触覚とか味覚が連動すること
次回より対面の歌会を実施しようという相談があった。
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