「その人」の教えから
2021-08-02
「人間はあまりにも うそやごまかしが多いから一生に一度は ごまかしのきかぬ人を持つがいい
一生に一度でいい そういう人を持つといい」(相田みつお「その人」より)
8月となりお盆を迎えることもあって、あるお寺で僧侶の説法を聞く機会を得た。「どんな縁で
あなた方は今ここで私の話を聞いているのか?」という問いからして、実に深く考えさせられた。自らの両親の掛け替えのない縁があり、命をいただくということ。その両親の人生の「物語」が些細な拍子で違っていたら、僕自身の命はない。特に両親は子ども時分に第二次世界大戦も経験しているのだから、僕の根本的な魂は「戦争体験者」ではないかと思うこともある。両親がそれぞれの育った土地で空襲を経験した話を聞くに、自身の命が今あることを「奇跡」と呼ぶのではないかとさえ思う。さらに言えば、両親それぞれの祖父母の「物語」があり、さらに曽祖父母の「物語」があり、先祖の人数は単純計算で十代も遡るならば1000人以上にもなる。江戸時代にも裕に至る自身の命の縁、そのうちなる「人と人との出逢いの物語」の未来の一点で僕自身はいまこのように小欄の文章を綴っている。
冒頭に引用したのは、著名な相田みつおの「その人」(『にんげんだもの』所収)である。お寺の僧侶の説法において、引用されて深い啓発を受けた。「うそが言えない」「ごまかしがきかない」「お世辞やお愛想」も言えない、ような存在。「ただほんとうのことだけ」しか通用せず、「身も心も洗われる」ような「その人」があなたにはいるだろうか?説法を聴きながら、僕自身も胸に手を当てて思い返してみた。「その人」とは言い換えれば、「そのように生きたい」と思える人であろう。漱石の『こころ』ではないが、今までの人生で真に「先生」と呼べる人が三人いることが思い浮かんだ。「その先生(人)」の生き方については、業績では及ばぬにしても少なからず影響を受けて、言動を見習いたいという気持ちが自身を揺り動かす。相田みつおが云うように、明らかに「その人」の存在で人生は変わるものだ。出逢いなくして、この命を燃やすことはできないのである。
素朴なラーメン屋の味がよい
それもまた「出逢い」に他ならず
「いまここ」で生きる自分の命の奇跡である。
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