自らの講演を聴くー話す声・話す速度「ああ ヨットのやうだ」
2021-08-01
学術集会オンデマンド配信自らの特別講演を視聴する
新型コロナで得られた新たなチェック機会
先月11日に開催された「日本周産期・新生児医学会学術集会」で担当した特別講演「若山牧水と日本の恋歌ー性愛と家族愛へのまなざし」が、Web上でオンデマンド配信されているので視聴した。講演の座長である担当の先生に聞いた話によると、例年は2000人ほどは来場する集会であるが、リアルな参加は延べ700人ほどと三分の一であったと云う。その分、1週間の期間が設けられ丁寧に録画された映像で講演をWeb視聴することができる。感染による医療現場の状況や感染対策に配慮して参加できなかった会員の方々にとっては、ありがたい方法である。文学系の学会でも開催日当日におけるオンライン実施は一般的になったが、なかなかオンデマンドによる実施には至らない。この方式であると、講演者が自らの話す内容や話し方を事後に検証できて、振り返りの重要な機会ともなる。
オンデマンドは視聴者が期間内なら自分の予定に応じてWeb環境さえあれば、いつでもどこでも「要求に応じて視聴」できる方式を云う。昨年来、講義でも実践してきているが、学生にもなかなか好評である。既にかなりの回数を経験したゆえ、自らの録画や録音された画像・音声を聴くことにも慣れた。人は慣れないと「自分の声」を聞いた時に違和感を覚えるものだ。話すスピードや声のトーン、緩急や強弱と間、スライドとの対応、分かりやすさや全体の構成、あらためて視聴すると自らが構想した意図通りなこともあるが、修正したい部分がないわけではない。特に今回は医療系学会での「特別講演」であったため、詳細に文学的に深掘りするのではなく参加する先生方の興味深い話をするのはどうしたらよいか?を常に考えて話した。幸い短歌は、1スクリーン1首など簡潔に素材の表現を集約して表示できるために話の整理はつけやすい。今回は実施の時間帯が昼食後ということも考慮し、深海の見えない奥行きまでを話すイメージではなく、海上から視界のある範囲を軽快に波立てて走るヨットのようなイメージで話した。「神話の地から」というテーマも立てられた学会で、短歌という文学で現代の「性愛」の問題を焦点化して切り取れたのではないかと自負している。
プレゼン資料の様式など反省点も
医学の先生方と考える牧水の死と生
「短歌は私の命の砕片である」(牧水第二歌集『独り歌へる』自序)
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