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やがて苦難の真夏かな

2021-07-30
「おもしろうてやがて哀しき鵜舟かな」(芭蕉)
非日常に浸る祭典が終わった時に何が待っているのか?
あらためて先の見えない世界であるといふこと

TOKYO2020が開幕して1週間が経過した。4連休に始まり特に思い入れのある競技については、選手たちの真摯な姿から多くを学ばせてもらっている。1年前の延期から予定が定まらぬ未曾有の今回の五輪大会に向けて、ただひたすら自らのコンディションを保ち最善の力が発揮できるように準備をしてきた選手たちには、深い敬意を表したいとと思う。あくまで「結果」であるメダルやその色ではなく、選手たちがどれほどに想像を超える「凄いこと」をしているのか、その質を丁寧に見極めたいものだ。メディアの喧伝も特にTVに関して言えば、「五輪一色」になりつつある。過去の五輪の際にも痛感していたことだが、なぜこの国の住民は祭典があると狂瀾的に舞い上がるのだろう?クリスマスもバレンタインも、最近ではハロウィンでもそうだ。とりわけ「西洋の容れ物」を崇め奉り、横並びで「狂瀾モード」に入ってしまう。秋頃には刊行する新著では、この問題を短歌に寄せて明らかにしようと試みた。こうした「西洋の容れ物」を統合したような祭典に、酔い痴れている自らも省みつつある。クリスマスが終わればその年が残り僅かである焦燥感に襲われるように、この祭典に酔い痴れてばかりでいいものか?あらためて「現実」が我々の眼の前にある。

新型コロナ感染者数は全国で過去最大の1万人超。特に僕のふるさとである東京をはじめとする一都三県での感染者数は、予測を遥かに超えるペースで増加の一途である。過去の波と同様に、都市部で拡大すれば必然的に地方へも波及し、全国的にかなり厳しい状況が窺える。今までの波の高さを遥かに超える大波になるであろう「第五波」を、我々は既に浴び始めている感覚だ。「第4波」までは、前述したような「国民的な横並び主義」によって、「マスク・手洗い・三密回避」などがかなりの「狂瀾的盛り上がり」によって成し遂げられていたのではないかと思う。「欧米に比べれば」と云う根拠のない安堵感を持ちつつ、日本の教育が培った「集団一斉同調」がある程度の効力を発揮したと考えてよいように思う。「行動規制(校則)」とあまり説得力のない「呼びかけ」にも全校児童や生徒が己を殺して寡黙に従うのと同様に、「ツーブロックの髪型」や「色付きの下着」を「悪」だと根拠なく規制するかのように、性善説に依存しつつ「酒」のみを「悪者」に仕立て上げて、真に波を超えようとする手段なき難航に目を瞑るばかり。こうした現状でありながら、「クリスマス・バレンタイン・ハロウィン」を束ねたような祭典がこの国で開催されつつある。くり返すが、国と地域を問わず選手たちの各競技への取り組みは、あまりにも尊い。だからこそである、開催国である此処では感染拡大が起きないような1年半の準備が必要であったはずだ。今更言っても、ではあるのだが、冒頭の芭蕉の句にある「やがて哀しき」では済まない近未来を僕らはどのように超えて行けばよいのだろう?

ワクチンをはじめとしていかに超えるか?
あらためて「現実」を見据えつつ前に歩むには
「波高し都は遠くなりにけり」(宮崎にて)


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