いま宮崎に生きてー国文祭芸文祭みやざき2020開幕
2021-07-04
この地には豊かな海と山がある人々の心の叫びは短歌となり
神話の源流から永遠に響き合っている
いまこの機に宮崎にいて、心からよかったと思った。新型コロナ感染拡大で延期になっていた「国文祭・芸文祭みやざき2020」の開幕に立ち会うことができたからだ。これまでも8年と数ヶ月、この「みやざき」で様々な文化に触れて生きて来た。その取り組みの一つ一つは真にかけがえのない出逢いであったことが証明された、という思いを新たにした。高校生らが朗読する『宮崎百人一首』の短歌の響き、その声で伝えられる「みやざきのこころ」。題材とされた短歌の歌人のほとんどとこの宮崎で出逢うことができ、僕自身の短歌への関わりにおいて大きな財産になっている。「牧水賞」があり「牧水祭」がある、その都度深い思いをもって参加して来たことが、自らの「みやざき短歌生活」の大きな柱となっている。さらには先月の研究学会でも実践調査報告のあった若山牧水の母校・日向市立坪谷小学校の全校児童による短歌朗詠には、いつもながら自然に溢れくる泪が止まらなくなった。なぜ未来ある子どもらの素朴で無垢な声に、人はこんなにも心を動かされるのだろうか?ここにも朗読を研究して来た僕自身のライフワークの源流があるように思う。
新型コロナ感染拡大も含めて、我々人類こそが悠久の自然の中で「生かされて」いるのだ。ゆえに「ウイルスに打ち勝つ」のではない、晴れの日ばかりではない地球の歴史の中でいかに生きるかが求められるのであろう。しかし人類は特に近代化を進めるうちに、自然に対して驕り始めた。それを繰り返すうちに「驕りが驕りである」ことも自覚できない病に陥ってしまうのだ。昨今のこの国の社会情勢を見ていると明らかであるが、「己の弱さ」を自覚できない輩が自らの偏向した特徴そのものを気に食わない他者への批判として判然と言い放つ。その状況把握そのものが「驕り」の象徴であり、この傾向がある心性は社会を大きな過ちに導くことは歴史が証明している。近現代が掛け間違えてきたことを「無名」に徹して「驕る」ことのなかった牧水の短歌は、僕たちに大きな示唆を与えてくれる。自然の中で「生かされている」ことをことばで把捉すれば、「死」は恐れるに足らず。43年間という現代にしては短く感じる生涯で8000首以上の短歌を自らの「生きる声」としてこの世に放った牧水。国文祭芸文祭みやざき2020の開幕にあたり、さらに短歌を牧水を、そしてみやざきを愛して生きようと思う。
来週7月10日(土)13:00〜16:00・ゲスト:東直子・田中ましろ
「みやざき大歌会」国文祭・芸文祭みやざき2020×宮崎大学附属図書館
まずはここから始めます!(*トークイベントYouTube配信あり)
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