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中空均衡構造ー無意識と思考の傾向(創発読書会Vol6)

2021-05-29
己が思考する傾向を知るには
「無意識」と「意識」の領域
河合隼雄『神話と日本人の心』読書会

前期講義も7週目に入りほぼ折り返し点、新入生も受講や課題に慣れて来たように見受けられる。毎回の講義課題については、講義外の学修を経てWebシステム上に提出してもらう。そこで必ず、短くともコメントを付して提出確認をしているのだが、次第に個々の学生の考える傾向が掴めてくる。まずは見よう見まねで課題に向き合って「やってみた」学生らに最近語っているのは「自分の思考の傾向を自ら意識せよ」ということだ。単純な二者択一方式で、一方の考え方を排除してはいないか?文学史などの場合は、往々にして自らが明治以降の近現代の偏向した思考に位置する場合が少なくない。しかも、それを「無意識に思考してしまっている」としたら大変に危ういことになる。形式的な「論理と名付けられたもの」よりも、「文学批評」こそが思考の道筋をつける。

講義を終えて夕刻からは、附属図書館「創発読書会」オンライン開催に参加。この日から河合隼雄『神話と日本人の心』(岩波書店)を講読することになっていた。日本神話の特徴を「中空均衡構造」として「中心にある力や原理に従って統合されているのではなく、全体の均衡がうまくとれているのである。そこにあるのは論理的整合性ではなく、美的な調和感覚なのである。」などと説明されている。これに対して「ユダヤ・キリスト教のような一神教の場合」を比較し「中心統合構造」と呼び、その「変化」や「進化」のあり方に違いを見るという考え方である。前者は「受け入れる」ことから始まるが、後者は「対立」から始まる。「中空均衡構造」の場合は、外来の優位性があるものが侵入して来ると、「時と共に、その中心は周囲の中に調和的に吸収されてゆき、中心は空にかえるのである。」と説明される。それは「外来の仏教」の受容のあり方を見れば、明確に理解できると云う。「日本神話」の構造を分析した上での論考であるが、大陸文化の摂取・受容を考えた時に、多くの事例に当てはまる考え方でもある。明治以降の急速な西洋文明の過度な摂取・受容の際にも、こうした精神分析的な構造が働いたことも併せて考えたい。『古事記』『日本書紀』を考えることで、明治以降の思考に染められた我々の汚濁を払拭する可能性があるのだ。

次回へ向けて現代社会の構造との比較も
我々の無意識を少しでも明らかにしておくために
読書会の深さが次第に増している


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