題詠「夕」ー宮崎大学短歌会5月歌会(2)
2021-05-27
題詠「夕」は難しいか?やはり「夕焼け」「夕べ」「夕暮れ」
その上でいかに月並みを超えられるか
宮崎大学短歌会は、変わらずオンライン歌会を続けている。月2回もほぼ定例化してオンラインゆえに時間的にも余裕をもって進行することができる。さらには、既に宮崎の地から離れた卒業生までもが参加できる利点もある。「歌会」開催という意味では、オンラインは強い味方だと思うところ大である。さて今回の題詠は「夕」、どうしても「夕焼け」とか「夕暮れ」のイメージが強く難しさが伴うようでもあった。『新古今和歌集』の「三夕の歌」は有名であるが、時代を問わず「夕暮れ」は人の心を動かして来たわけである。出詠15首、新年度からの入会者も含めて多彩な歌と活発な議論が展開した。
「夕焼け」とは本当に「赤」なのだろうか?そんなことを考えさせられる歌が複数あった。厳密に言うならば「朱」であり、その時間の推移とともに多彩な色を見せるものだ。一瞬を見逃したら二度とみられない色、そして一日が終わりゆく哀切感。それは「生命」の象徴としても機能し「終焉」を表現する場合もあれば、「陽はまた昇る」へ導く生命の恒常性を意識できる場合もある。『日本国語大辞典第二版』に拠れば、「(上代では)・・・明るい間の終わりの部分を指すが、単独で用いられることはほとんどなく、『夕風』『夕霧』『夕日』『夕さる』など、他の語と複合して使われる。」とある。また「夕べ」などと表現すると「夜の時間帯の初めの部分」であり、闇の異界への入り口のように捉えた歌もあった。同辞典には語源説も掲載されていて、「気がユルリとなる」とか「行く日」などがあると云う。宮崎では皆既月食は曇って見られなかったが、学生たちの「夕」にあらためて天象の中で生きる「われ」を思った。
「夕張メロン」などの応用も
文語助動詞の難しさへの議論も
歌よむ夕べは楽しかりけり。
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