「夏」のイメージの戸惑い
2021-05-14
「私たち夏だから」のイメージは?「熱々」「愛愛」いや「爽やか」
季節観を奪われたかのようなこの一年
新型コロナの感染が昨年に増して拡大し、とどまるところを知らない。「この社会」になってから、季節観もだいぶ変わってきてしまったのではないか。桜も新緑もいつしかやって来て、意識することも少なく時節が移り変わっている。世間ではそんな情趣のない意識であるようだが、個人的には日々の散歩でなるべく自然を多く感じるように心がけている。定まった場所の定まった樹木たちに話しかけると、日々表情の違った反応がある。特定の樹木には鶯などの鳥が棲みつき、こちらも日々鳴き方が上手く進化している。季節は勝手に動くわけではなく、捉える人間の感性の度合や態度に拠るものだとあらためて思う。
先日、短歌会で学生らと歌を評し合っていると、微妙な季節観の違いを覚えた。「私たち夏だから」といった趣旨の短歌を、僕は「熱々のお二人」というイメージで読んだが、学生らからは「爽やか」というイメージが提起された。もちろん歌全体の素材の取り合わせの影響もあるだろうが、スポーツ飲料水のCMのイメージだと云う。暑さと汗を背景に、まさに「清涼(飲料)」の爽快さが漂うということ。とりわけ「世代論」的なギャップを感じたわけではないが、時代が季節観を平板にしているような気もした。それに追い討ちをかけるように新型コロナが季節を奪ったように作用していないか。やはり花見も風薫る五月も、そして海水浴場も紅葉の観賞も、みんな祭典かのように「人が集まって」こそ味わえるものだったのか。やむを得なく、ただひたすら個人で季節観を見つめ続けてみようと思う。
南九州は平年より19日も早く梅雨入り
雨への心構えもできないうちに
虫や鳥たちはどのように感じているのだろうか?
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