謝辞に短歌をー旅立ちの笑顔
2021-03-24
コース専攻ごとの学部卒業式ゼミ生の謝辞に込められた短歌
この大学から笑顔で旅立つ
昨年は急転直下に卒業式の実施方法が変更になったが、今年は事前より予告され大きな落胆もなく学部ごとの卒業式が挙行された。もとよりコロナ禍で仕方なくというより、学部コース専攻ごとに手作り感ある教室で挙行される卒業式は利点がないわけではない。黒板には美術専攻の学生らが描いた「黒板アート」、玄関や廊下に花が飾られ、間隔を空けて座るとはいえ学生らの個々の顔が見える。教員養成を旨とする「教育学部」であればこそ、こうした「教職員の温かい心」が見える卒業式で、学生らの旅立ちの餞けとするのは意義深いだろう。教師は明らかに、教え子個々の笑顔の旅立ちを祝いたい。この日こそ4年間の日々の教育のあり方が、問われる日であるからだ。大きく自力で空に羽ばたこうとする若者を見送るのは、いつでも教師の大きな喜びである。
さてコース専攻ごとに学部が三分割されて実施されたが、小学校主免専攻ではゼミ生が謝辞を代表して読むことになっていた。4年間の学びを振り返り未来へ希望を込めた言葉の締め括りに教育実習の際の子どもたちとの関わりを素材にした短歌が据えられた。なかなか心を開いてくれなかった児童に向き合い続け、やっと表現をしてくれたことの喜び。個々の子どもたちの心の機微は、土の中に埋まって見えないことも少なくない。だが忍耐強く向き合えば、必ず如何様かなる表現をしてくれる。それが「日常」にふと訪れる、誰しもが暦の上で過ごしている今日という「曜日」であるが、そこに成長の小さな芽を見逃さなかった実習生としての発見があった。「社会」とは、個々の人の個々の「物語」で成り立っていることがわかる。教師として個々の子どもに真摯に向き合うことが伝わる謝辞となった。
宮崎大学を旅立つ君へ
「お元気で」を忘れず
この日からが本当の人間としての付き合いが始まるのだ。
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