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題詠「実」ー宮崎大学短歌会新年zoom歌会

2021-01-15
出詠12首ー参加8名
オンライン歌会をじっくりと
「実」はいかように使われるか

宮崎大学短歌会新年zoom歌会が開催された。大学は当初から年末年始の帰省を鑑みて、新年開始2週間は全面遠隔授業の方針を打ち出していた。その上で年始の宮崎県内の急速な感染状況悪化による独自の緊急事態宣言もあって、あらためて人と人との接触は控えるべき事態にある。そんな中ではあるが短歌に集う学生たちによる、題詠「実」による歌会は気持ちが和む時間でもあった。歌会担当者によると、今年の宮中歌会始の題詠「実」で行いたかったのだと云う。(まさに宮中歌会始の時節であるが、感染状況の悪化によって延期されている)今年に「実りあれ」と祈りを込めた題詠であるが、むしろ厳しい「現実」といった趣が先立つ世相である。

素材として記憶にあるのは「口実」「(果実の)実」「実験」「実印」「事実」などと読み込まれた歌であった。「実行」「実践」などのように前向きな行動を表現し、結果が出たことを植物による比喩で「実り」とするのが一般的なこの語への意識であろう。だが「口実」や「事実」には正負の両面が含み込まれ、複雑な人間関係性や現況のコロナ感染の状況を憂える使い方もある。「實」(旧字)の構成要素を見るとわかるが、「屋根」+「貝(財貨)」+「周(あまねく)」であり、「屋内に財貨がいきわたる」という字源である。西郷隆盛が漢詩に遺した「耐雪梅花麗 経霜楓葉丹」を思わせる冬の「結実」を考えさせられる歌もあり、この題詠も僕らが置かれている今を炙り出してくれた。

対面でできずとも歌会は続ける
各自が自宅で寛ぎながらという利点も
オンラインの利点を「実利」と考えるべきだろう。


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