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完全という傲慢を暴き出せ

2020-12-03
「魔術師の幻想」
刑事コロンボが暴く犯罪
「完全犯罪などない、あなたの幻想です」

小欄に何度か記しているが、水曜日夜のBSプレミアムで「刑事コロンボ」を放映している。このシリーズは僕が中高生の時代に大好きで、推理小説とも違い視聴者が最初に犯罪場面を目撃するという画期的な演出・構成の70年代アメリカドラマである。あらためて今見直してみると、新たな発見も少なくない。脱炭素社会となった今では考えられない巨大な箱型アメ車が登場し、コロンボ自身も証拠ある現場で平気で葉巻を吸っている。犯罪に手染める登場人物は大抵がインテリか財産のある白人で、その思い上がりをイタリア系で風態もみすぼらしいコロンボが小さな契機を見逃さずに鮮やかに解明するのだ。それはある意味で白人至上主義の傲慢に対する、一つの抵抗のようにも見える。

犯人は毎回のように「完全犯罪」を目指し、アリバイ工作をし自らの職業や資財によってできる限りの隠蔽工作をする。その特殊な職業の特技を活かす場合も少なくない。昨夜は「魔術師(手品師)」の犯罪を描いていたが、当然ながらイリュージョンを存分に活用し舞台上でマジックをしている最中に箱内から一時的に脱出し犯罪に及ぶ。コロンボは「うちのカミさんが魔術が好きだ」などと御託を並べ、その特技の真相を自ら身につけて犯罪の解明に挑む。昨夜も最後は証拠となる書面を犯人がマジックで燃やすと、何通でも証拠はあると手元に書面を繰り返し手品で出していった。最後に魔術師が「完全犯罪だと思っていたのだが」というと「完全などない、あなたの幻想」だとやり返しドラマは終幕。多くは犯人から見下されるコロンボが、最後は痛快に自らの傲慢を曝け出させて犯人を逮捕に追い込む。

傲慢な幻想を抱くほど愚かなことを知れ
他人はわからないだろう、という見下した態度に落とし穴が
「新品のコートは肩が凝る」といつものヨレヨレのコートを着なおす場面が印象的だ。

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