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「拍手喝采は人を愚かにする」米国大統領選を憂える

2020-11-05
「拍手喝采は人を愚かにする道なり。
 つとめて拍手せよつとめて喝采せよ。
 渠(かれ)おのづから倒れん。」(緑雨警語より)

日本社会を、いや世界の未来を左右しかねない米国大統領選挙の開票が進んでいる。4年ごとに報道で知識は得るものの、州ごとの「選挙人」獲得という制度をはじめ、二大政党制でどちらかが「敗北宣言」をするなど、日本の「選挙」からすると理解し難いことも少なくない。それでも世界において「民主主義」と「自由」の象徴的な国での先導者を決める選挙として、むしろ理性的な姿勢も歴史の中では見られて来たわけである。アメリカ発祥のスポーツ競技に見るように「フェア」な精神が、どこかにあったはずだ。しかし今回はどうだろう、双方の中傷合戦や罵詈雑言の大放出セールのような野鄙な選挙戦が展開して来ている。その結果においても、「一方的な勝利宣言」など、「俺様」な発想は止まるところを知らない。

米国大統領の選挙戦を観ていると、スポーツの試合かのような拍手喝采が目につく。「ヒュー」なる高い声をあげ応援グッズを翳し、宣伝文句の書かれたプレートを掲げる。いかにも「何も考えずに陶酔せよ」とでも言わんばかりの支持者の熱狂ぶりが観て取れる。そこで、冒頭に記した斎藤緑雨の言葉を思い出した。拍手喝采にも種類があり、心から賞讃している場合もあれば、社会的体裁でする場合も少なくない。特に後者を勘違いする輩が多いのが、世間一般ということだろう。また面倒臭いことを考えないでいる楽な「世界」に居住するために拍手喝采をする人々がいることを、今回の米国の現状が示唆している。理性的な判断なき偏向した拍手喝采、球場でビールで泥酔し現状や組織体制を顧みずに贔屓チームを応援する付和雷同な観衆と同質なもののように思う。緑雨曰く「つとめて拍手喝采」をすれば、当事者は「おのづから倒れん」とあるが、この理屈が通らないのならば世界の大国そのものが倒れかねない。

熱狂は妄信となり体制を内部から崩壊させる
「裸の王様」のさらなる暴走に世界は付き合うのか
新型コロナとともに世界史の大きな転換点に我々は立たされている。


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