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授業はどれだけ脳内を動かせるかである

2020-09-11
大学講義の「出席」とは何か?
遠隔講義で見えてきたこと
「その場に居る」のみならず「その場で脳内を動かす」ということ

僕らが大学生の頃、講義の出席の取り方は実に多様であった。語学では人数的に名簿順に名前を呼んで返事をすることで確認するのだが、学生側は「代返」という行為に及ぶことも多かった。今にして懺悔するならば、僕も数回はクラスの友だちに依頼されて敢行したことがある。自分が呼ばれた時と依頼者が呼ばれた時に、声色を変えて二度返事をするのである。なんとなく先生もわかっているような目線であるが、最後までしらを切り通す。依頼者が講義中に「・・・の部分を訳してください」などと当てられた場合は、さらに「なりすまし」に及ぶかどうかと緊迫の時間が過ぎる。まあ伝統的に演劇も盛んな大学ではあったのだが。また大教室の講義だと「出席カード」などという代物が配布されるが、手持ちのカードを代返的に友だちに提出してもらうという手段を防ぐために先生方はたいそうな工夫を凝らしていた。カードの端を特殊な形に切ったり、マジックインキで特徴的に塗り込んだりである。まさに大学教員と学生のイタチごっこが横行していたわけである。

今年はほとんどの大学で遠隔講義となったわけだが、「出席」をどう認定するかは大きな課題になっているようである。オンライン同時双方向の場合、人数次第だが一人ひとりを画面上で確認する講義同様の返事式の方法がある。しかし時間を費やし過ぎるので、僕の場合は予習内容を踏まえて一言コメントするという方式を採ることが多かった。それもせいぜい20名ぐらいの講義サイズまでで、40人以上となると厳しいことが予想される。オンライン中に通信環境の状態が悪化して、画面上で固まってしまったり、画面上から消えてしまったりすることも稀ではなかった。また「オンデマンド方式」の場合は、一定期間に提起した資料を閲覧して学生が自ら学び、その成果を「講義レポート」として提出することで初めて「出席」を認定する方法である。極端に言えば、学生はいつでもどこでもPC(場合によってはスマホ)と通信環境があれば受講できる。わからなければ二度三度と聞き直すこともでき、じっくりマイペースで考えられる利点もある。せめて学生が講義に参加する意識を高めるために、提出された課題から秀作を選抜して次回の講義資料で紹介することで「対話」を成立させていた。少なくとも講義資料によって学生の脳内が動くことが、こうした講義で忘れてはならない要点である。

原点は教員と学生がどう向き合うか
その場に90分居れば「出席」ではない
オンライン講義で大学はどう変質していくのであろうか?


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