題詠「残」ー宮崎大学短歌会9月例会(その1)
2020-09-10
夏の名残あるこの時節に題詠「残」にどんな歌が出されるか
Zoomにて交流することば
9月になり学部によっては試験が行われたり、実習が行われたりする時節。学生も教員も暇なわけではない。特にコロナ禍の今年はその皺寄せが集中して押し寄せているようで、じっくり歌作に集中できる状況ではない。そんな中で5首の出詠、5人のZoom参加、オンライン投票8票を加えた歌会が開催された。題詠は「残」、題材としては「皿に残る」「残りはんぶん」「居残りテスト」「残る数字」「残像」(*歌そのものの表現ではないものもある)などが並んだ。「残る」というのは嬉しいことか悲しいことか?否、その両義性のある微妙な心が各歌に表れているようにも思えた。漢和辞典で「残」を繰ると、「そこなう」「きずつける」「むごい」「わるい」の語義が並び、「残余」の熟語に見えるように「のこる」の語義がある。「余」は「余裕」にも通じ、肯定的な趣旨を持たせることもできる。
「ボトル内にワインが半分」ある場合、「もう半分しかない」という言説と「まだ半分ある」という言説では、語り手の心が異なる。文学理論を講ずる際によく使用される例で、「国語」の中で「心情を問う」設問というのはこれを基本とする。「もう半分しかない」と言えば、そのワインが美味しいのか惜しんでいる「心情」を読むことができる。「まだ半分ある」と言えば、早く飲んでしまいたいほどワインを好んでいない「心情」となるだろう。もちろん文字面のみならず、「場面と言い方」の条件が加わると「心情」にいくつかの微細な枝分かれを読むことができるだろう。「残」一つにも表裏上下左右から、多様な見方があるものだと永遠の時間とこの世の普遍性を感じることになった。
「糊代」の重要性
何が「本・・・」であるのだろうか?
地球に残された時間はあとどのくらいなのか?などにも考えが及んだ。
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