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70年代虚構の真実味

2020-08-11
映画『日本沈没』
マグニチュード8クラスの地震
津波と山間部から水が、さらに火山爆発など

70年代に小松左京『日本沈没』が話題となり、TVドラマや映画化が為された。地球を「ゆで卵」と喩えると、柔らかい「殻」の下に「白身」に当たるマントルという液体がゆっくりとした対流を続けており、その中心に「黄身」である「核」があるのだと云う。大陸の東端に位置するこの島国では、太平洋側を列島に沿うように海溝があって海側と大陸側がせめぎ合っている。そこにマントル対流の刺激を受けると大地震や地殻変動が起きるという構造である。本州では「富士川〜糸魚川ライン」で東西に陸地は分断され、また中部地方から西へと活断層が四国を経て熊本あたりまで伸びている。この地殻の特徴を考えるに、列島では地震や津波に火山噴火などの自然災害は、不可避であることは子どもでも十分に理解できることであった。

昨日、何気なくTVをつけると映画版『日本沈没』を放映しており、若かりし日の藤岡弘、さんが、いしだあゆみさんと恋人役で、思わず見入ってしまった。その虚構たる映画でこの列島で起きることは、この30年〜40年で明らかに現実のものとなった。もちろん大規模な地殻変動で、列島が沈むというまではいかない。だが地震も津波も火山も静かにしているわけではなく、さらには集中豪雨や台風という災害が加わった。映画では政府が為す術もなく、国連で海外移住の受け入れ先の国を要請しているのだが、消防も自衛隊の装備もまったく役に立たぬほどの自然災害が一気に列島を襲うのである。僕は関東に住んでいたせいもあり、子どもながらに大地震への警戒意識を強めた記憶があるが、あらためてSF的な虚構を単に「虚構」と捉えていいのか?という気持ちになった。今回の新型コロナ禍で、僕らは自分の身は自分で護らないと危ういことを体験している。映画では引き裂かれた恋人が、ともにシベリア鉄道のような列車に、お互いに知らずに乗って欧州を目指している場面で幕を閉じるのだが・・・。

何よりの先決課題は自然災害から国民の命を護ることだ
虚構を虚構で終わらせてしまう想像力の欠如は知性の低下
70年代は様々な意味で真実味のある時代であった。


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