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寺山修司にもらうヒントを

2020-07-29
「空を呼ぶ夏美のこだまがわが胸を過ぎゆく時の生を記憶す」
九州南部は梅雨が明けて夏本番
ラジオドラマや歌詞・歌謡曲への思いなども

この時期になると、寺山修司「初期歌篇 夏美の歌」が読みたくなる。冒頭に掲げた一首をはじめ歌に「夏美」と名を入れた歌群が恋しい。昭和の時代、「燃えろいい女 燃えろ夏子🎶」という楽曲があったが、夏と海と美しい女の配置は絵になる。もっとも今年は通常通りビーチを開く海も少なく、「海の恋」も花開かない我慢の年になってしまった。梅雨明けとなればギラギラした夏の到来感に酔うものだが、宮崎県内でのニュースはそれよりも感染拡大の速報が止まらない。せめて寺山の作品世界で「夏美」を味わうとともに、サザンの海を舞台の名曲を聴きながら「想像の夏」を楽しむしかない。

基礎教育科目「日本の恋歌ー和歌短歌と歌謡曲」も15回分の13回をこの日に収録。ラジオ式録音と資料配布と学生らのWeb検索を組み合わせた方式を、遠隔オンデマンド講義として展開してきた。この日の回は前述した寺山の短歌なども紹介したが、「ラジオドラマ」や「歌謡曲」と文芸性との関係は寺山の生前の仕事から大きなヒントが得られる。「歌謡曲はしばしば、人生を処方してくれることがある。」(遊びのすヽめ 歌謡曲」より)という言葉には、文学の生きる道を多視点で示してくれているようにも思われる。「時には母のない子のように」などの歌詞制作のみならず、シナリオライターや演劇・映画制作なども手掛けた寺山の領域は、今現在取り沙汰されている「文学」の社会性への大きなヒントとなる。2年前の神奈川近代文学館「寺山修司展」のパンフを見返しながら、こんなことを考えている。

「パン焦げるまでのみじかきわが夢は夏美と夜のヨットを馳らす」
サザンオールスターズ「涙の海で抱かれたいーSEA OF LOVE」
我慢の夏も想像力が実学となる。


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