朗読研究会(詩歌)オンラインー『東北おんば訳石川啄木のうた』
2020-07-24
詩の朗読と『東北おんば訳石川啄木のうた』さらに「牧水 酒の歌十首」朗読
オンラインゆえの多様な参加者の研究会
関西在住の懇意にする歌人の方が主催し、「朗読研究会」がオンライン開催された。詩人の新井高子さんをお迎えし、詩集『ベッドと織機』から代表作品を朗読いただく。生家が織機工場であったご自身の体験について、そこで働く女工さんの姿や交流についてリアルに内容が描写されている詩であった。生育環境で接する「音」が濃密に身体に沁み込んでいることや、子どもとして初めて出逢う大人である女工さんらとのやり取りが律動ある言葉で表現されている。下町で商売を営んでいた僕の生家とも共通するものがあって、幼少期の体験をこのようにリアルに描写する詩歌のあり方も模索できた。その後はやはり新井さんのご著書『東北おんば訳石川啄木のうた』を東北ご出身の「おんば」さんのネイティブな発声と新井さんの啄木のうたとの交響朗読を動画で拝見、新井さんの近現代詩や言葉に対する繊細な捉え方が印象的であった。
その後、僕が「牧水 酒の歌十首」を朗読。「かんがへて飲みはじめたる一合の二合の酒の夏のゆふぐれ」と朗読会の時間に合致した「酒好き」の歌から、「酒の毒しびれわたりしはらわたにあなここちよや沁む秋の風」あたりの好きな歌を十首選でお送りした。近現代短歌の朗読は近現代詩のそれに比べて、朗読もあまり為されず方法も確立していない。特に牧水の短歌は、律動性・愛誦性もあり声に出して読むのには適している。元来、牧水自身が「音読」する身体を活かした歌づくりをしていることも大きな要因である。新型コロナ対応で「飛沫」が抑制されるべき「新しい生活様式」の中で、「朗読」はどう生き続けたらよいのだろう?オンラインでの「朗読」では、何が伝わり何が不足するのであろうか?自宅の一室で声を出す「朗読」、「酒の歌」ということもあって、かなり自己陶酔の境地には至ることができた。いずれにしても詩歌に声で語る行為は不可欠であるという確信は得ることができたのだが・・・。
近現代のことばの生成の問題として
地方出身の啄木と牧水らが抱いた方言と東京ことばの境目
「国語」が機械的に作った「標準語」幻想を超えていけ。
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