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ゼミの原点を創った卒業生たち

2020-07-19
恩師の命日に
今年はオンラインで集合
みんな家庭を持ちながら各分野で活躍する

修士・博士後期課程でお世話になった指導教授が急逝されて、この日で13年の月日が経った。あまりにも急に危篤となり研究室の仲間から連絡を受け、暑い夏の日に高校の部活動をさておき地下鉄の階段を駆け上がり病院へと走ったあの日は忘れようがない。その年の四月当初、指導教授から電話をいただき大学の講義を代講してもらいたいという依頼をいただいた。教授の専門とする『更級日記』の演習科目と卒論指導をする特殊演習で、その責任の重大さを痛感しつつ精一杯力を尽くして担当した。特に後者の卒論指導の学生たちは、既に3年次から教授を慕って仲良く集まる連中で不慣れな僕をすぐに受け入れてくれた。当初は前期のみで夏合宿から教授が復帰する繋ぎ役のつもりであったが、前述したように先生は帰らぬ人となってしまった。

教授を失った悲しみが癒えぬうちに学生らと夏合宿に行き、平安朝物語の魅力について深夜まで酒を呑んで語り合った。その勢いで後期も活発な卒論発表と議論の連続で、彼らは自分らで対話を拡げて卒論執筆の不安を乗り越えて行った。「大学は自学の場である」とはよく言われることだが、彼らのような姿勢に仕上げることが大学の意義ではないかとさえ思う。指導教授の学生の発言を尊重する姿勢が、彼らのような理想の学生を育てたのだ。それから13年間、毎年この時季になると先生の墓参と偲ぶ会を開いてくれている。今年はコロナ禍にあって、埼玉での墓参は断念、偲ぶ会もオンライン開催となった。各自が幼い子どもらもおり画面上に顔を出したりもして、むしろオンラインが大変に有益だったようにも思う。各自の予定で途中退席も可、最後まで呑んで語り合った僕を含めた男子3名の中では、オンラインなら忘年会もできそうだという話になった。まずは感染拡大が進む首都圏在住の彼らの安全を祈りつつ、宮崎の晴れて来た夜空に指導教授の顔を思い浮かべる宵の口であった。

喋ってなんぼ!何でも対話する雰囲気
その内なる「我」を捕捉する時間でもある
指導教授から継承した「中村ゼミ」の原点たる姿勢である。


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