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33年目のサラダ記念日

2020-07-07
恋の歌を読み湧き出づる力
素朴でわかりやすい言葉の中に人を動かす力が
『あなたと読む恋のうた百首』(文春文庫)を学生たちと読んで

出勤する際に自家用車を始動させると、カーナビが「今日は・・・・・日です。」と何らかの「今日」を告げる。中には「?」を感じざるを得ない「日」もないことはないが、毎年「七月六日」になると「サラダ記念日」と言ってくれるのが嬉しい。世間の人の中には「なぜサラダ記念日?」と疑問に思う人もいないわけではないだろう。また理由を知っていても「あの”俳句”のね!」と僕ら短歌関係者からすると、「そうは言わないで」と思う誤りをしている人も少なくない。いずれにしてもカーナビの365日で「短歌」に関係するの日を告げるのは、この「サラダ記念日」のみだろう。この日は出版から33年目、今も色褪せないその歌集から学ぶものは変わらずに大きい。現状で「短歌史文学史」に刻まれる歌集が『サラダ記念日』であろう。

「今も色褪せない」と記したのは、現在の学生に『サラダ記念日』の短歌を紹介しても、あまり解説などしないと同世代の歌だと思っている場合があるからだ。確かに同歌集は二十代前半の恋を中心にした「若者の日常」を題材としており、短歌表現も口語的で若者が馴れ親しみやすい。現在はSNSが革新的に発展し、若者の相聞(恋)のやり取りの様相も変化した。だがそれだけに言葉の粉飾や誤解なども激増しているようで、SNSでは心が通い合わないが会って対面で話すと理解し合えるということを講義課題で記している学生もいた。この時代の若者にして『サラダ記念日』は、むしろ若者の恋心に火を灯す可能性が高いという感触がある。小欄でも繰り返し紹介している「日本の恋歌」基礎教育科目では、『あなたと読む恋の歌百首』をテキストにしている。二十歳前後の若者には、この「恋の処方箋」が「学修」以上に必須なのではないかと思う33年目である。

「恋を考えたらあらゆることにやる気が出た」と学生の弁
簡潔に素朴な姿こそが名歌の証
「宮崎野菜でサラダ記念日」30周年パーティーに出席できた日から3年目となる。


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