社会的距離と対面性を考える
2020-06-27
座席を離しての対面講義ビニールシートなどで仕切られた学生窓口
マスクで塞がれた顔と顔
大学で廊下を歩いていると、遠目から怪訝そうな顔で同僚の先生が僕を見つめて近づいて来る。どうやら話したいことがあるらしく、「社会的距離」まで近づいて僕だと確認し立ち話。マスクをした顔はなかなか当人と判断し得ない状況があるのだと自覚した。久しぶりに会った学生などでも、僕も当人かどうか確認してから話しかけた場合もあった。顔の三分の二をマスクで覆っているだけで、対面情報が限定されてコミュニケーションが滞留するような状況を経験する。会議などでも、なるべく距離をとって座るようになった。発言や応答の通い合いは、やはり以前よりは形骸化した印象が拭えない。「社会的距離」の励行により、対話の環境が変化しつつあるようだ。
この数年間大学教育に求められてきた「アクティブ・ラーニング」、班別の学生同士の対話を取り入れて講義を進める方法を中心に採ってきた。なるべく「密」になってお互いの相違する考え方を対話することで、学生各自の思考傾向を客観的に知覚して気づきの学びを進めるということ。学部内で分散し開始した対面講義においては、「社会的距離」を保つ座席を指定し教室の収容率も定員(座席数)の50%まで、以前は指導しなければ後ろに固まっていた学生たちが、教室全体に均衡に拡がって着席している。僕は従来、教壇から学生までの近い距離が重要であると考えて、なるべく教室の前半分に座るように勧めていた。班活動をする際も机を向き合わせて対面度を上げて実施するようにしていたが、尽く反対のことをしなければならなくなった。試みに「社会的距離」を保った班別対話も行なってみたが、どうも煮詰まったものにはならないような印象だ。サザンのWeb配信ライブでも、メンバー同士やダンサーと桑田佳祐さんは「社会的距離」を考慮したと云う。「またみなさんとライブでお会いしたい」というメッセージに、やはり「ライブ」は「生きた」上での対話なのだと思う。こんなことを考えつつ、「教育に対面性はなぜ必要か?」という命題を考えている。
人と人とが遠ざかる
文化として持つ対人的習慣による感染の差もあるか
以前から考えてきた「ライブ性」を多面的に考えなければならない時代になった。
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