「刑事コロンボ」のかっこよさ
2020-06-25
ヨレヨレのコートにボサボサの髪で葉巻を吸って
真犯人が侮ることが死角になって・・・
毎週水曜日夜9時〜にNHKBSプレミアムで「刑事コロンボ」を放映している。特に夜は決まって観る番組などないが、ここのところこれだけは欠かせなくなっている。昨夜も最後の真犯人を落とすシーンとその後に傘を持って出張先のロンドンの街を歩くコロンボの姿を、つくづく格好いいと思った。真犯人の殺人を暴く方法はもちろん現実には証拠とはならないのは承知の上だが、証拠を隠滅し完全犯罪を意図した知能犯の心の死角を暴き出す方法が毎回心憎いばかりの演出である。現在では考え難くも葉巻を常に吸いながら真犯人の居る場所に図々しくも入り込んで、インテリであることの多い真犯人の仕事の分野などに抉り込むような質問を執拗に繰り返すその姿がたまらなくいい。
表面上は「昼行灯」のような風体と態度、鋭さは最後の最後まで見せないあたりは、日本のウルトラマンのスペシュウム光線か水戸黄門の印籠にも類似するものがある。よく観ていると殺人の現場を見る際の洞察力は、並々ならぬものがあることがわかる。偽装や証拠隠滅に対して異常なまでの嗅覚や観察眼を持ち、真犯人の得意とする分野を知らないフリをしながら「うちのカミさんが興味ありまして」など、とぼけて専門性の領域にいつしか踏み込んでいる。ドレスコードのある社交場などでも捜査に必要とあれば、ズカズカと執拗にやって来る態度も笑いを誘いつつも頷けるものだ。昨夜の放送作品は「ロンドンの傘」、出張研修中に遭遇した殺人事件を当地の警察が偽装されるがままに「事故」と見立てたものを推理で覆し、それでも証拠が隠滅されたことで大きな賭けに出る。傘の中に証拠が入り込んでいるいるはずだと場面を一か八か創り出し最終的には真犯人を自白に追い込むという内容であった。人の能力とは、外見でもなく威勢を張ることでもない。他者を見下すという下劣な心が、必ずや真実を露呈させることを「コロンボ警部」は教えてくれる。
権力や財力に社会的立場に溺れた醜き心
日本の時代劇の勧善懲悪にも似て、正体本性を明かさず相手を落とす
僕が中高生の頃に覚えた興奮を、今新たに日常態度の指針としたい。
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