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「ラジオ講座方式」に僕がこだわる理由

2020-06-10
音声配信方式での遠隔講義
プレゼンテーションに音声を付けない理由
文字ではなく聲のみで伝えるラジオ講座の再興

僕の受験勉強は「ラジオ講座」から始まった。高校時代に部活動に勤しんでいたが、大学受験が気になり始めた高2の頃より、何かをやらねばならないと本屋であれこれと参考書を漁っていた。そこに『蛍雪時代』という雑誌を見つけ、受験勉強方法などが丁寧に記されていたので購読するようになり、その延長上で高3になる直前の2月頃から「ラジオ講座」のテキストも購入して本格的な受験準備に入った。いざ始めてみると、高浜虚子の「春風や闘志いだきて丘に立つ」などが音声で紹介され、当時『豆単』と言われた英単語集を短時間に声で覚えていく「ハリスの豆単特講」、そして何より「西尾の実践英文法」の実にわかりやすい語りの声に魅了され、受験勉強そのものが楽しくなった。規定の時間内を寸分も狂わず、余談なども交えて学問に興味を唆り、受験生を激励する西尾孝先生の口調は当時「英語の神様」と呼ばれるほど視聴者の多い人気番組であった。高3となってYゼミナールで行われていた西尾先生の講習に足繁く通い、長きにわたり先生とは出身大学としても学問の上でも大先輩・恩師としてお付き合いをさせていただいた。

『ウィキペディア(Wikipedia)』で「大学受験ラジオ講座」を検索すると、「旺文社の創業者赤尾好夫が、『大学受験教育の地域格差を放送を通じて解消していく』という理念を掲げ、自ら設立に関与した」とあり、1952年(昭和27年)3月31日に文化放送により放送が開始されたとされる。ラジオ電波は公平に地域格差もなく全国に届けられる、津々浦々の受験生が名講義を聴くことが出来るわけである。講座にはテキストが販売されていたが、そこに記された「文字」情報よりも、何より講師の先生方の語り口に説得力があった。テキスト内容を擦るというよりも、時間内でその日のテーマを確実に学べる工夫が為されていた。受験勉強は知識のみにあらず、当該教科内容への学問的興味を唆ることが大切と云う理念は、長年にわたり西尾先生との親交の中で得られた崇高な考え方である。「受験」という近くの目標のみならず人生の扉を開くのが「大学受験ラジオ講座」とするならば、現在僕が行なっている大学の遠隔講義でも、「単位」のためではなく学生の「人生に資する」内容が求められるであろう。僕が遠隔で配信しているのが、プレゼンソフトへの音声付ではなく、「ラジオ講座」式であるのは、以上のような経験と理念によって支えられている。

西尾孝先生の崇高な御意志を引き継ぎ
ラジオ講座式講義で学生の人生の扉を開く
「日本の恋歌」学士力発展科目は全学部の履修学生がいるのも野望を掻き立てる。


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コメント:
私は昔からラ講が大好きでした。私はラ講を聴かせて頂いて、ずっと受験勉強をしていました。ラ講を聴いていると、とてもハッピーでした。だからこの記事は楽しく読ませて頂きました。ラ講は素晴らしいの一言に尽きます!ありがとうございました。
[2021/04/17 11:16] | 水口栄一 #- | [edit]












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