仕方なくで思考停止しないー卒業生の言葉
2020-05-29
対面講義をする効用は何か?遠隔講義にも多々利点あり
卒業生との交流で教えられること
緊急事態宣言の解除という状況を受けて、大学では「原則遠隔講義」を継続しつつ対面講義を今後はいかに融合して再開していくかという議論を進めることになった。3月以降、じっくりと考える間も無く「走りながら」という感覚で遠隔講義に移行する対応を進め、講義を開始して3週間ほどが経過した。巷間でも自粛を余儀なくされていた商業施設や飲食店の再開、しかし報道に拠れば簡単に客足が戻るわけでもないという嘆きも聞かれる。さらに九州圏内では北九州市でさらなる多くの感染者が確認され、同市内に所在する大学では6月からは対面講義実施を決めていたが、やむなく遠隔講義を延長せざるを得ない決定を下したことも知った。公の言う「解除」「収束させた」「抑え込んだ」という文言をわれわれ巷間の民も精神的に求めてはいるのだが、決して実態は気の抜けない状況が依然として身近にあることを忘れてはなるまい。個々人が、今も眼の前にある感染危機に向き合う姿勢を崩すべきではあるまい。
宮崎に赴任する以前に母校で非常勤講師をしていた折、指導教授の代講で卒業論文を指導した学生たちがいる。既に卒業して干支で一回りの年月が経過するが、毎年7月の指導教授の命日に合わせ、墓参と懇親の会を開催している。今年はいかにするかとグループラインの気の利いた便りが届いた。結論として各自が無理をしないためと、先の状況は見えないこともあり、「リモート飲み会」にしようという結論になった。各自各様の職業に就き家庭も持って意識の高い市民として暮らしている彼らの姿には僕自身の学びも多く、母校の偉大さの恩恵だと思うことがある。今回のLINEのやり取りからもまた、僕自身が刺激を受けた内容がいくつもあった。特に遠隔講義への取り組みや学部の方向性の決定に苦労しているという僕の発言に対して、「遠隔だと対面みたいな授業はできない!と思考停止に陥っている」場合があることを指摘して、状況に即応し自らの講義のあり方を見直す機会にすることが肝要ではないかというLINE会話の流れになった。コロナ禍の中にあっても、過去を省みつつ未来を進取に模索する姿勢、彼らは卒論指導の中で常にそのような徹底した対話を繰り返していた。時にぶつかり合いながら、とことん絡まった糸を解こうとする。この卒論指導のあり方は、僕自身の大学教員の原点である。今回もすっかり僕が励まされ、あらためて卒業生に感謝する機会となった。
思考停止しないために
「走りながら」も理性を失わないこと
「仕方ない」のではない、新たな時代に生きているだけである。
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