聴いてDJ講義ー我の語りを
2020-05-27
遠隔講義の音声配信ラジオDJ風の作り込み
自らの語りを省みる夜
遠隔講義が始まって3週目となったが、何事も3の倍数で適応し順応し更新するものである。研究室のゼミや専門科目の20名以内の講義では、双方向会議システムで相互に喋りながら、十分とは言えないものの対話的な展開を成し得ている。画面に映る学生の表情と発言の音声という情報があるだけで、理解度の把握は格段に違う。ゼミなどではさらに踏み込んだ自由な対話へと発展させる契機を、掴もうとしているところだ。その一方で担当の基礎教育学士力発展科目(全学部の学生が対象)は履修者がかなりの人数に及び、双方向会議スステムというわけにもいかない。そこで考案したのが「ラジオDJ」方式の講義配信である。学生が購入したテキストとなる短歌関連の文庫本と講義のPDF資料は、さながら市販テキスト。これに約60分〜70分の音声録音を大学Webシステム上に配信している。
録音はPCの「録音アプリ」を使用し、接続するヘッドセット(両耳に掛け片側から口元へ向けて伸びるマイクが付属するもの)を使用。次第に喋りの背後にBGMを入れてみようか、などと欲が出て来ている。ここで活かされるのが、僕自身が研究対象にもして来た「朗読力」である。「文字」次元のものをいかに生きた音声表現に変換して伝えていくか、その「朗読家」としての実力が問われているような気がする。これでは「単一方向」で学生の学習実態が掴めないと思われるだろうが、そこはやはり「ラジオDJ方式」なのである。毎回、テキストにある短歌を素材にして「ラジオドラマ」を800字以内で創作することを、この講義の課題としている。寄せられた「作品」の中から「秀作」を5編ほど選び、毎度のDJで朗読し披露している。恋歌を扱っている関係から作品には男女の会話が含まれる場合も多く、単に読み上げるのではなく一定の演技力も求められる。こちらは落語師匠への入門経験や、以前から県内で実践して来た演劇ワークショップが実に役立っている。録音音声は編集の時間的余裕など一切なく「一発勝負」であるが、それだけに「生放送」のような緊張感がある。自らへの振り返りとして、帰宅後に妻とともに自らのDJを聴き直し改善点を探る日々である。
話す速度や間合いと時間内に収めること
作品朗読と地の文などいくつかの「語り手」を自らの中に持つ
大学の頃まで描いていたアナウンサーになる夢が小さく叶えられている。
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