わかっちゃいるけど水戸黄門
2020-05-17
昭和の勧善懲悪時代劇月曜夜8時45分に悪は退散させられる
「田舎じじい」は権力を公正公平に
幼少時代を「昭和」に育った身として、月曜夜8時のTVチャンネルは必ず「水戸黄門」に合わされていた。シリーズとして「江戸を斬る(西郷輝彦の遠山の金さん)」や「大岡越前(加藤剛)」を挟む場合もあるが、いわゆる「勧善懲悪」時代劇が家庭の定番であった時代である。子どもながらに何の疑いもなく、これらの時代劇を観て、結構爽快な気分にさせられていた記憶がある。「天下の副将軍・水戸光圀」が諸国を旅して農民などが横暴な政治に苦しんでいる背景に、土地の豪商と悪辣な代官が結託し様々な利権を獲得するために暗躍する姿があからさまに描かれていた。もし虚構の物語として見なければ、江戸時代は全国津々浦々に悪政がはびこり、将軍家にはいつも利権を貪られる危機に瀕していたことになる。(初回などで光圀が江戸に乗り込む旅に出る口実は、将軍家の諸問題の場合が多い)
だが、そうした真実を翳した虚構論は置いておくとして、市井に悪がはびこることや権力構造の継承のうちには必ず腹黒く暗躍する人間どもがいることを「物語」として描いていたのは確かだろう。その「懲らしめる」べき悪を「水戸黄門(光圀)」は、自らの権力を謙虚に包み隠し、悪に対して徹底的な調査諜報活動を実践し(弥七という実に優れた「忍び(忍者)」を特捜の最前線に置く)、苦しむ庶民の生活感覚に寄り添い(迫害を受けている家庭に逗留したりする)、悪辣非道な政治を格好のタイミングを逃さず、自らの権力を最後の最後で善用して庶民を救い地域の政治を刷新する。前述した「江戸を斬る」や「大岡越前」も似た構造であり、「金さん」は江戸の奉行にして大工など扮して活動し、「越前守」も庶民が出入りする居酒屋などの常連であることが多い。いずれも「庶民感覚」を失わない姿勢を崩さない、今の時代にも求めたい社会を護るヒーローなのであった。「昭和」に育った我々が30年余りの「平成」を挟み、こうした時代劇に描かれた私利私欲の悪行を「現実」の政治に見るとは思ってもいなかった。「水戸黄門」ならば、「副将軍」として天下の安泰を「正義」で解決してくたのであるが。
昭和時代劇の背後に「ロッキード事件」の現実
「昭和」は「正義」を護るヒーローがいた
今こそ「国民主権」の「印籠」を翳すときなのだろう。
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