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予期せぬ一か八か「花を買いきて」

2020-05-09
「友がみな我よりえらく見ゆる日よ
 花を買いきて
 妻と親しむ」(石川啄木)

「予期せぬ」ものというのは、今回の新型コロナのような事態なら困惑と苦難ばかりであるが、よろしき事態なら嬉しさが倍増するものだ。妻が誕生日を迎えたので、何も予告せずに花が贈りたいと思っていた。市内に妻が大変好んでいるセンス最高のフラワーショップがある。昨年の令和初日5月1日、市役所での入籍をめでたく届けたのち、その花屋さんに出向き芍薬の花を買った。わずか一輪の芍薬であったが、しばらくはリビングで花を咲かせ、花芯だけは最後まで立派にこちらに顔を向け続ける健気さがあって感激した。夫婦生活はこうあるべきだと、その芍薬は僕たちに教えてくれたかのようであった。その後も義母の誕生日など、何度かその店の花を妻とともに買いに行っていた。しかし、僕は肝心の花屋さんの電話を控えるのを忘れてしまっていたのだ。(しかし、妻に尋ねるわけにもいかない)

仕事が終わって夕方すぐに出れば、なんとか営業時間内(定かではない)に間に合うだろう。安易にそう考えていたが、大学内の「新型コロナ対応」で日々様々な会議等もあり、この日も急な招集や次週の授業開始への算段で予定より30分以上、大学を出るのが遅くなった。もはや「一か八か」の賭けのような気持ちで、車を市内まで走らせた。幸いなことに在宅ワークなども多いのか、道路は空いており何とか灯りの点る花屋さんのお洒落な店先の前に車を乗り付けた。店主がドアから出てきて親しげに手を挙げて挨拶を交わしてくれたが、(明日以降の)予約の花もあり今日はもう花束を作れないと云う。ちょうどその時のことだ、店主の携帯と僕の携帯が同時に鳴って、店主は花の注文のような話を始めた。(僕は大学から事務的事項の確認の電話であった。)その後、店主にこの日の事情を話すと「わかりました!それなら!」と妻の雰囲気に合わせた花束を作ってくれたのだ。「運というか縁ですね!」僕は店主に心から感謝の意を告げ、思わず冒頭の石川啄木の歌を口ずさんだ。「予期せぬ」を創り出すための「一か八かの賭け」に店主のお陰で勝利できた僕は、ケーキとオードブルを買い込んで自宅へ帰り、遅番の妻の帰宅の数分前に家の灯りを点し花を用意して待ったのである。

妻との人生に灯りを点す花屋さん
この縁が心穏やかな日常をくれる
そしてまた必死に不確定な計画を遂行する自分の「意志」が嫌いではない。


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