閉式の辞ー手作り卒業証書・学位記授与式
2020-03-25
昨日は教育学部において、卒業証書・学位記授与式が挙行された。学部120名をコース構成に即し50名・40名・30名に三分割して各20分、時間差をつけて3教室での実施となった。事務職員さんらは会場作りから証書類の座席机上配布、入り口での手指消毒などの準備を万全に施してくれて卒業生も安心して式に臨むことができたようである。本日は、各3回の式のそれぞれにおいて、僕が「閉式の辞」として卒業生らに贈る言葉の全文を掲載しておくこととしたい。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
みなさん、ご卒業おめでとうございます。
あらゆることは自らの思い通りにはならない。この二か月ほどの全世界の成り行きを見て、こう考えました。しかし、みなさんは「思い通りにならないこと」をどのように超えていくか、その術を教育学部で学んだはずです。本日はこのような卒業証書・学位記授与式となりましたが、特に事務職員の方々の温かい心が伝わる手作りの会場で、みなさんの門出を祝うことができました。祝賀会も開催できずに残念でしたが、学部後援会よりみなさんに宮崎が誇る県産の杉を素材とした記念のペンをお贈りすることにしました。四月より活躍する教育現場などでお使いください。
さて今まさに、宮崎大学で過ごす最後の時間となりましたが、ぜひ教育学部で過ごした日々に出逢った人たちの顔を一人でも多く思い出して欲しいと思います。講義やゼミで出逢った先生・友人たち、教育実習の研究授業をともに創った児童・生徒たち、実習最終日には涙を流して皆さんを励ましちからを貰ったはずです。その一人一人との出逢いこそが、みなさんがこれから長い人生を歩んでいく大きな財産です。
「先生の先生ですか?」と聞く子らの瞳に学生の板書トメハネ
私がみなさんの実習を参観し創った短歌です。
教育とは、生きる力として学んだ叡智を、次の世代の子どもたちに伝えること。みなさんが書き順やトメハネを慎重に意識して板書した文字は、児童生徒の一生の学びの一部になりました。教員を目指すみなさんの歩みを、私たち教育学部教員が支えられたことを、今日この時にあらためて、お互いに深く噛み締めたいと思っています。
「先生の先生ですか?」と聞く子らの瞳に学生の板書トメハネ
お渡ししました卒業証書・学位記の番号は、教育文化学部の方は長き伝統の上に、新たな教育学部の方は「教育第一号」から始まっています。まさに新しい宮崎大学教育学部の節目として本日、晴れ渡る空に向かい飛び立つわけです。最後にやはり、若山牧水の歌をお贈りしたいと思います。
親竹は伏し枝垂れつつ若竹は真直ぐに立ちて雨に打たるる
竹の節と節の間を「世の中」の「世」と言います。この教育学部を飛び立つみなさんを、私たちは今後も伏せて枝を垂れるように陰となって、見守り続けたいと思います。教育現場では「雨に打たるる」ことも多いと思いますが、ぜひめげることなく、「真っ直ぐに立ちて」、もし苦しい時にはこの母なる学び舎に顔を見せて下さい。
親竹は伏し枝垂れつつ若竹は真直ぐに立ちて雨に打たるる
そして、本日のこの会場でみなさんの晴れ姿を見たくても見られなかった親御さんの顔を思い浮かべ、感謝の思いをあらたに深く抱いてください。
みなさんの前途に幸多かれと祈ります!
本日は、誠におめでとうございました。
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