今日よりは明日ー〈ここ〉を見るために
2020-03-05
「今いるここから少しでも動かなければ、〈ここ〉は見えないのです。」
(小島ゆかり2002『短歌入門ー今日よりは明日』本阿弥書店より)
何事も初動や早目の対応がよいに越したことはない。初動が遅れれば災いの傷口は拡がり続け、対応し回復するために何倍もの労力を費やすことになる。病気について考えてみても、初期に発見できれば完治する確率は格段に高い。災の糸口となる小さな出来事に気づかないかあるいは気づいても放置してしまい、取り返しのつかない状態になるのは誠に惜しんでも惜しみきれない。このような意味では「今日」を疎かにしてはならず、「今日」できることは「今日」すべきという考え方が大切であるのは明らかだ。先延ばしした「明日」の存在は、いつも必ず保証されているわけではない。「明日」やろうと思っていると、思わぬことで「明日」にやれる時間はないかもしれないのだ。
だが、前述した発想であると上手くいかないこともある。そんなことが冒頭に記した著作に記されていたことを思い出した。「今日やらねば」と考えると窮屈になって上手くいくこともいかなくなる、という考え方である。「今日」できなかったことは「明日」やればいい、ある意味で潔く可能性のある「明日」に委ねるという発想である。同書を著した小島ゆかりさんは、その発想を持ったことで萎縮せず余裕を持って仕事もできるようになったと説く。小島さんが宮崎にお出でになった機会に何度かお会いしたが、まさにその心の余裕が明るい表情や会話の根本であるように感じられた。次の会議まであと何分、という状況下での仕事は自ずと雑にならざるを得ない。そして「今」を見つめるには、先へ向かって「少しでも動かなければ」見えないのである。ではどちらの姿勢で生きるのがよいのだろう?と思いがちであるが、どちらか一方の姿勢に偏る必要はないということではないか。「今日」できて気持ちのよいものは「今日」、「明日」に伸ばせば発想も変化し「今日」を見ながら余裕を持った判断ができる。その柔軟な対応を笑顔でできる人になりたい。
美味しいものは先に食べるか?後に食べるか?
明日になったら何かが起こってできなくなるかもしれない
自然が自分に与えてくれた時間に、知的に向き合うのが人間である。
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