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坂を登り切る自転車のごとく

2020-02-26
電動でもなく他者の助けも借りず
ただひたすら坂を登る自転車の若者
あの日の自分を見るような光景


現職教員をしながら大学院への入学を決意した時、一番考えたのは勤務先から大学までの交通手段である。勤務時間は午後4時まで、4時半から開始される指導教授のゼミに参加するには30分で研究室に到達しなければならない。しかも勤務時間が終わって諸事に目もくれずに勤務先を飛び出さねばならない。東京ゆえに公共交通機関も充実してはいるが、一番短い時間で研究室まで到達するのは自転車であると判明した。しかも地図上に勤務先から大学キャンパスへ向けて直線を引き、その線上で自転車で走れるまさに網の目のような道を自分自身で定めたのであった。この経験は、意欲と合理的な方法が融合すると底知れぬ力となるということを身を以て学ぶ機会であった。

自転車の最短距離経路には、坂道がいくつかある。東京は「ブラタモリ」で紹介されたように、実に坂の多い街なのである。大学キャンパスが見えてくる目白台の坂は、極端な急坂で此処は下りになるので、急カーブを曲がるのに気をつけねばならない。また、途中にダラダラと長い坂があり、実に「辛い」と感じる日々が思い返される。その坂を登る際には、母校大学の応援歌を心の中で唄い、自転車の変速機にも助けられて何とか登っていた。その際の自分の姿は、まさに現在の大学専任教員となるための象徴的な姿なのである。人生には自力で坂道を登り切るような苦難の体験が、ぜひとも必要なのではないか。それ以来、僕の中で確信ある人生哲学の持論となった。苦難の丘を自力で登り切れば、必ず希望の未来が待っている。今は大学受験生を迎える側となり、まさに自力で自転車で坂を登ろうとする高校生に大きな声援を送りたい心境である。自転車という「道具」は利用するにしても、その車重を含めて自力で登り切ることが肝要であると切に思うのである。

誰も知らない東京都内の「獣道」
路地の先に、坂の上に研究者としての未来を見つつ
今も自らの脚の筋肉の強さは、この体験にも由来している。


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