「デパート」がある街
2020-02-12
一つの「文化」としてのデパート催事や地下食料品売り場など
再編や今後のあり方が模索される中で
幼少の頃、デパートに行くのは特別なことでこの上ない楽しみであった記憶がある。未だ東京の主要な道路に「都電」の線路が敷設されていて、「チンチン」と鐘の音が鳴ると発車する電車に揺られ、上野広小路の松坂屋百貨店まで行くことにワクワクしたものである。もちろん一番行きたいのは玩具売り場や絵本売り場であったが、地下食料品売り場の様々な料理の香りが入り混じった感覚が懐かしい。また屋上は小さな遊園地のようになっており、硬貨を入れるとその場で前後に動く乗り物などによく乗ったものだ。またレストランとしての機能も充実しており、よく家族でレストラン街を目当てに休日の外食を楽しんだことも思い出である。だがそんなデパートの姿も時代とともに大きく変わって来てしまった。
衣料・家電・玩具や本も今や「量販店」などの安価な大量販売が全盛であり、子どもだましの乗り物よりも個人でゲーム機で遊ぶ方が面白かろう。ファミレスやファーストフードのチェーン店(しかし何とも和製的な英語でしか表現できないのだろう)で家族が食事することが多くなってしまった。都市部のデパートも経営再編が進むとともに、こうした量販店に床面積を賃貸する状況も少なくない。かくいう地方生活者としては、巨大な駐車場を備えたモールが建てられ、前述したデパートの機能・娯楽を一手に後者の「和製英語」的な色彩を帯びた場に多くの人々が集まるようになっている。自ずと地方都市中心部にあったデパートは、次第に体力を奪われつつある。先日も市内中心部のデパートが、ある巨大チェーン何でも屋さんに買収されたというニュースが地方紙一面で報じられた。「昭和的」な風物だけがよいと言うつもりはないが、「街づくり」の観点からせめて地方都市には穏やかな「デパート」が保存・維持されていいような気がしている。
初めて地方のデパートに行った母の弁
「店員さんがどなたも優しい」
駅前ビルの再開発も進む中、中心部も一体となった「優しい街」であって欲しい。
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