助詞の難しさ美しさー第344回心の花宮崎歌会
2020-02-02
「前を」なのか「前に」なのか?「時間」なのか「場所」なのか?
短歌そして日本語の助詞の難しさ美しさ
毎月第一土曜日に開催される心の花宮崎歌会、今月は朔日ということで二月は短歌で始まる。また宮崎ではプロ野球5球団が一斉にキャンプイン、駅のコンコースにも各球団のユニフォームが展示されファンの方らしき観光客も姿も多かった。宮崎歌会では毎度、活発な意見交換が行われるが、今回特に話題となったのが助詞の使用法。冒頭に記したように「・・を」なのか「・・に」なのかで解釈は「時間」か「場所」かとふた通りの解釈が生じて、時間をかけた議論となった。この助詞が受ける動詞が「待つ」であり、「到来するべき時間(を)待つ」という文脈と、「到来すべき時間を待つ場所(に)」という解釈が生じた双方の意見があったと云うことである。議論は相互の解釈ともあり得るとして、なかなか着地点が見つからなかった。
日本語の助詞・助動詞を文法的には「付属語」と呼び、「単独では意味をなさない」ものと解説される。義務教育においては、小学校ではおおらかに前後文脈から適切な用例を学び、中学校では「口語文法」として学ぶことになっている。だが所謂「学校文法」としての体系や教え方が決して活用しやすいものではなく、教える側の教師さえも曖昧な中で模索しているのが現状である。まだ外国人向けの「日本語教育」の方法を採用すれば、むしろ明快な学びになるのではないかと思うのだが。「文法」そのものの学びも重要であるのだが、それ以上に「文脈」を読む力を重要視した方が活用できるものとなる。前述の短歌解釈の問題も、「待つ場所」に一首の焦点があるのか、「待つことで至る特別な時間」に焦点があるのかで、「を」か「に」の適切さが判明することになろうか。やはり短歌には、日本語の難しさと美しさが集約的に表れるものである。
同じ語の繰り返しの問題なども
小説にあった比喩的表現の使用はいかに
単純化の成功例なども
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