この冬に「雷ちかづきぬ」
2020-01-28
「ぬばたまの夜にならむとするときに向かひのをかに雷ちかづきぬ」(斎藤茂吉)乾燥した澄んだ空気の冬型気圧配置はいづこへ
強風と記録的短時間豪雨に竜巻注意報など夏の気象の様相が・・・
「ぬばたまの夜にならむとするときに」ジムへ行こうと車でやや高い位置を走るバイパスに上がった。側道の上り坂でバイパスの道路の高さに出ようとした際に、一瞬の閃光が目に入った。僕は自らの車が自動で上向きライトになることから、瞬時に「上向き」となってバイパスの他の車を感知し「下向き」に戻った動作をしたのかと思った。だが同乗する妻は、「雷ではないか」と言った。僕はこの時節に「雷もないだろう」と否定的であったが、バイパスから見ると遥か北東の空に巨大な雲の塊があって、その内部がまるで電気がショートするかのような火花を散らしている。空港方面かはてまた日向灘の海上か、場所はなかなか闇の空の彼方で特定できなかったが、何しろ映画のような強烈な印象をもたらす「冬の雷」であった。
天候は朝から異常であった。突風のような風に横殴りの雨、夏の台風の折などを彷彿させる。雷が見えた方向の宮崎県北部や大分県南部では、「記録的短時間豪雨警報」や「竜巻注意報」が発令され「避難指示(レベル4)」にさえ至っていた。世界が経済最優先の利益誘導型にうつつを抜かしているうちに、地球は明らかに怒っているかのようだ。北国の雪不足、予期せぬ地域でのドカ雪、暖かく凌ぎやすい気温に、我々はなぜ驚かぬのだろうか。「20✖︎○年までにCO2を・・%削減」と云うお題目は、既に実行して来なかったツケを払う段階に至っている。昨夏のような台風による甚大な被害は、決して1回性のものではないだろう。果たして国同士が、つまらぬ鍔迫り合いなどをしている時なのであろうか?冒頭の茂吉の歌は、素朴にして単純化の際立った名歌であろう。ただ茂吉もこれに類似した光景を、冬に現実として視る国になるとはゆめゆめ思わなかったのではないだろうか。
若い世代の中高年世代への反逆の問題も
世界が社会が分断している間に地球はどうなるのだろうか?
まだ自然に力があるうちに知性と理性の対応へと導くのは我々であるのだが。
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