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恩師の力は亡くなりてなお

2020-01-27
「幕尻」という表現
場所中に悲しみの報せの中
番付を思わせない立派な相撲で優勝

「幕尻」という表現語彙も実力世界の偏見視を感じさせたが、大相撲でこの番付で優勝するのは20年ぶりであると云う。昨日の小欄に続き大相撲の話題。見事に徳勝龍関が、初場所14勝1敗という見事な成績で優勝を果たした。取り組みがあらかじめ全て決定している他の競技と違い、大相撲は前日の結果などによって取り組みが定められるようだ。前日の十四日目に単独で1敗を守った徳勝龍であったが、大関・貴景勝との取り組みとなったのは力の世界の無情な掟も感じさせたが、観る側にとっては興味深いものでもあり、「幕尻」力士が千秋楽結びの一番に上がるというのも昭和以降初めてという快挙であったようだ。結果、徳勝龍は「優勝」に見合った見事な相撲により、自らの力で賜杯を手にした。

優勝してみて話題となったが、徳勝龍関の近畿大学時代の恩師が場所中に急逝されたと知った。インタビューでも「(見守っていたという感覚ではなく・私注)先生が一緒に土俵の上で闘ってくれていた」という表現を述べた。師というものは、弟子に競技の技術や体力の鍛錬、さらには心構えなどを教えるものであるが、その場凌ぎではなく恒常的に力が付いていてこそ師匠と呼べるのであろう。徳勝龍の大学時代の恩師はまさに、死してなお教え子に力を与え続けている。考えてみれば、僕なども学問の恩師である学部・大学院それぞれの指導教授の教えから、今も力をいただくことも多い。更には大学受験でお世話になり長年のお付き合いがあった英語の恩師の言葉を今もこの自宅の机上に掲げ日々の力にしている。先生は云う「読んで面白い売れる本を書きなさい」と。僕も研究者としては「幕尻」から這い上がって来た部類だが、徳勝龍関も昭和33年(6場所定着)以降で3番目の年長優勝。彼の優勝に刺激をいただき、今年は著書の執筆に勤しむ思いを新たにするのである。

恩師の声の偉大さ
果たして僕は教え子たちに
教育の素晴らしさに眼を開く初場所大相撲であった。


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コメント:
先生のブログ、おもしろくて以前から拝読していたのですが、ず~っと気になっていたことがあります。それは「語彙」という言葉の使い方です。「語彙」とはことばの集まりを意味するはずです。単語の集まりですよね。ですから、「○○という語」という表現は正しく、「○○という語彙」という表現はありえない、と思います。たとえば「教育に関する語彙」という言い方だったらありえる、と思うのです。私が間違っているのであれば、ご指摘ください。国語教育の先生に対してたいへん失礼なことを申し上げてしまいました。
[2020/01/27 07:09] | ph #ytf16Tqw | [edit]
申し遅れました。私、宮崎大学の学生です。ひとりで短歌と向き合っております。上のコメントと、このコメント、どうか削除してくださいますよう。
[2020/01/27 07:29] | ph #ytf16Tqw | [edit]
> 先生のブログ、おもしろくて以前から拝読していたのですが、ず~っと気になっていたことがあります。それは「語彙」という言葉の使い方です。「語彙」とはことばの集まりを意味するはずです。単語の集まりですよね。ですから、「○○という語」という表現は正しく、「○○という語彙」という表現はありえない、と思います。たとえば「教育に関する語彙」という言い方だったらありえる、と思うのです。私が間違っているのであれば、ご指摘ください。国語教育の先生に対してたいへん失礼なことを申し上げてしまいました。

ご指摘いただきありがとうございます。確かに「語彙」は「単語の集まり」と云う意味が第一義的です。「単語の総体」「単語を集合として見たもの」と云うわけですから、単体の意味で使用する場合は「語」が適切で「言語の種類」や「専門領域(教育など)」の集合範囲が必要ということはその通りです。以上を確認した上で、やや俗な用法として「ある単語の集まりに属する単語。用語。」という使用法が『日本国語大辞典第二版』の項目(3)に示されています。私はこの用法を採り、ある使用者(作家や発言者)とか作品の総体の中で使用されるある傾向を持つ「単語・用語」という趣旨を含みこむ意味で使用しているつもりです。それでもなお、誤解を招く用例がないとも限りません。ご指摘をありがたく受け止め、今後の使用は慎重に吟味したいと思います。こうした語感に敏感であることは大切なことです。今後とも短歌に親しみ自らの言語感覚を磨いてください。ありがとうございました。
[2020/02/03 05:43] | 中村佳文研究室 #- | [edit]
「語彙」という語の使用方法を私が間違えて理解している、ということですね。
ご指導、たいへんありがたく、また自分の日本語力の不足を痛感いたしました。
私のアパートは本であふれていますが、所有している国語辞典で大きなものは
「広辞苑」と「日本語大辞典」の二冊だけです。その二冊によれば
たとえば、「明日という語」は正しく「明日という語彙」はオカシイということになってしまいます。
今後(あと1年ちょっとで卒業ですが)は
大学にもきちんと通いつつ、家庭教師のアルバイトにもいっそう励み(あ、家庭教師では「国語」は
教えておりません。私のような貧弱な日本語力の持ち主に「国語」を教える資格は
ありませんよね。高校生に英語と数学と物理と化学だけを教えています)、ぜひ
もっと大きな辞典(デジタル版)を購入したいなあと思います。
中村先生の講義を受講させていただいたこともありませんのに、先生に貴重な時間を
割いてまでご指導いただきましたこと、感謝の気持ちでいっぱいです。
[2020/02/03 10:16] | ph #ytf16Tqw | [edit]












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