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第343回心の花宮崎歌会新年会ー題詠「長」

2020-01-05
「長椅子」「長寿」「長男」から
「長い夜」「長介」や「長・内科」の固有名詞
「白長須鯨」まで

新年歌会始、心の花宮崎歌会は第一土曜日の原則もあり例年より早い三ヶ日明けの開催。詠草には通常よりも多い47首と50に迫る歌が並び、賑やかな新年歌会となった。題詠は「長」、冒頭に記したような使用が特に目を引いたが、比較的どのようにでも形容詞として使用できる語だけに、歌に仕立てることは容易だが、注目作にするためには工夫が求められるようだ。家庭の中の「長椅子」の存在は、ときに疲れた人を睡眠に誘導したり、家族の存在や役割を相互に自認する装置となり、また学校の相談室などのそれは心の対話の痕跡ともなる。また時代相からして「長寿」の語の使用も目立つが、それだけに高点を獲得するまでの素材としてはむしろ難しい印象があった。中には、松山千春の「長い夜」という曲名を入れた歌もあり、同曲の知名度の高さと宴会などでの使用頻度の高さが窺え場面も浮かび、固有名詞としては成功している歌となったようだ。

以下、歌会の議論の要点となったことを覚書とする。上句と下句の結びつきがわかりやす過ぎても良からず、またかけ離れ過ぎてもわからずという微妙な点のやりとりがあった。一首に「長男」を5回使用した歌があったが、作者の主張はどこか?と迷いつつも言葉遊び的に注目を引く歌となであった。「長く編む」という遊びの名称が実に響きがよい上に、遊びの本質を突き「長い」とは何かを考えさせられた歌。獣医という職業と結びつく「白き長靴」も、清潔感の象徴であるとともに、宮崎での口蹄疫の記憶も想起させる貴重な素材であった。また「白長須鯨」は、人間並みの寿命を海で長らく孤独に生きる、その姿から「この世の全ての孤独」を感じさせる秀歌もあり、それぞれ議論も活発に盛況な歌会であった。

引き続き新年会では
昨年に出版をされた方からのコメントなども
そして今年の国文祭・芸文祭みやざき2020への期待が高まる新年であった。


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