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ゆたかなる心となりて

2019-12-19
「あめつちに独り生きたるゆたかなる心となりて挙ぐるさかづき」(牧水)
人はひとりで生まれひとりで逝く
ゆえに「生きたる」いまを多くの友と語らむ

人に限らずこの世に「生」あらば、命を授かりし瞬間から失う宿命を常に背負う。自らがこの世で呼吸をし始めた時を想像してみると、どこかさびしさが伴うのはこのためではないだろうか。冒頭に記した牧水も「われの生まれし朝のさびしさ」と詠う。諸々の宗教観によれば、生死は円環的な輪の中に位置付けられるのだが、言い換えれば生死には同一の闇のごとき恐怖が潜んでいるということにもなるだろう。何も見えない何も聞こえない誰もいない、というあまりの恐ろしさに人は救済を求めたからこそ、諸々の宗教的思想が生じたとも言える。

冒頭に記した牧水の歌が、ここのところ妙に心の底で響いている。日々の生活に追われ仕事の渦中から抜け出せなくなると、「あめつちに独り生きたる」という現実を忘れがちだ。「独り」であることを再確認するとともに、壮大な「あめつち」に「生き」ているという宇宙観を持つべきことに気づかされる。この広く果てしない大地に足をつけ、どこまでも広がる大空に見守られながら生きる「独り」を自覚するのだ。「ゆたかなる心」とはまさにこのように自らが自然の一部になること。眼の前の現実から「あくがれ」ていくために、今日もまた「さかづき」を「挙ぐる」のである。

「独り」を自覚してこそ
向き合う「ひとり」を大切にできる
どんなときも「ゆたかなる心」でありたい。


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