大学生の「性」についてのシンポジウム
2019-12-18
「対等・平等・合意・納得」「性体験率」の年代による変化のことなど
「愛」「恋」「性」を教えない学校教育
学内の安全衛生保健センター主催の標記のようなシンポジウムが開催された。3名約1時間の基調講演をもとに30分ほどの討論会であったが、基調講演の筆頭を僕が担当することになった。学士力発展科目で「日本の恋歌」を担当していることもあり、「短歌によむ恋と性愛」というテーマで30分の持ち時間をいただいた。日本の恋歌史の始発は神話における「山幸彦」と「豊玉姫」とのものであるとされるが、その舞台となったのが大学にほど近い青島の地である。そこではかの若山牧水が帰郷した際にも東京の恋人を思う歌を創っている。牧水や与謝野晶子の恋歌は、明治期としては鮮烈なものがあり、深い苦悩の恋愛の中から自然観の豊かな心情や女性ながら挑発的な心情が奔放に詠まれている。「恋って何?」「恋はつむじ風」「原始と文明の愛」「花かジャムか」「若き性愛」などのテーマで26首の短歌を紹介しつつ、「性愛」についてまずは思考を開放する役目を僕は担った。
後半のジンポジウムでは、安全衛生センターのお二人の先生方の講演から、身体的な関係の深まりとともに「別れたい」という感情や暴力的行為なども現れるという相関性がある点が発見であった。こうした男女関係の段階とともに、大学生世代の性体験率とか「デートレイプ」と言った社会的な事象を指摘してくれた先生の話題を融合させ、「恋」「愛」そして「合意」とは何かという話題で口火を切った。サークル活動を足場にした集団的組織的レイプの事例など、未成熟ゆえに大学生の時代の「性」は大きな危険も孕んでいる。また年代別の性体験率の変化が、X’
masを恋人と過ごそうという社会風潮の高まりとともに上昇し、その熱が冷めると下降していることは一つの発見であった。「フェニルエチルアミン」という恋の心を高める分泌成分は、「可燃性」であるという指摘も興味深く、「恋の火」を心に灯すことこそ人間の性の根源であり、身体と心が相まって「愛」という人類の幾多の物語を生み出して来たのであろう。
「水族館でタカアシガニを見てゐしはいつか誰かの子を生む器」(坂井修一)
「今我を待たせてしまっている君の胸の痛みを思って待とう」(俵万智)
相手の尊厳を深く意識して生きる、いつの時代も変わらぬ愛の基本である。
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