編集し表現するちから
2019-11-13
中学校定番小説の授業づくり会話文・地の文を編集し脚本にする理解
県研修センターと大学そして附属校が協働で行う研修
地域に貢献する国立大学として様々な協働活動に取り組むことは、自らが地域を知る上でも大変に重要な機会である。教育学部としては現場の教育の実情にどれほど寄り添えるかが、机上の空論を振り翳さない唯一の関所のようにも思う。この日は、県研修センターと宮崎大学が協働で実施する教員研修の講師を務めた。午前中は教育方法を専門とする先生が、「教材解釈と発問」に関するワークショップを実施。午後は音声表現活動をすることで主体的な解釈・理解に導く、担当ワークショップである。参加者は少なめであったが、ゼミの4年生が初任研の先取りよろしく6名参加して、活動するにはちょうどよい人数の研修となった。
場面が究極に切り取られた文芸が短歌である。例によって、最初は一首の短歌を音声で伝えて、即興の寸劇を創る準備運動。場面・登場人物・台詞などを想像して、一首はどんな心を伝えようとしているかを考えて身体表現に仕立てる。同じ一首が様々な役柄の人物に演じられる解釈の多様性が可視化されて面白い。今回は中学校教員が主な対象であり、教科書の定番小説をテーマとしていた。『少年の日の思い出』『走れメロス』『故郷』というのが3年間の各学年に配当されている。僕が従来から群読劇の実践に取り組んで来たのが『走れメロス』であるが、本来は中学校2年生が深く学ぶには難しい教材であろう。だが果たして完全な理解、完全な群読表現などができなければ学びにならないのだろうか。否、表現をすることを通して理解への糸口を創り出し、その年齢で「読む動機」を起動させておけば、生涯を通じて適した年齢で再読したくなる教材となる。学びは14歳で終わるわけではない、むしろ契機となる活動経験を根のように植え付けておくことが肝要であろう。
そして指導者自らが群読の経験をしていること
メロスも云う「口ではなんとでも言える」
附属中学校での授業実践も随所に紹介され深い連携の研修となった。
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