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本歌取りを創作体験からー活動する文学史

2019-11-01
最大でも二句と三、四文字
本歌とは主題を変えて上の句下の句の位置を変えるなど
まずは歌論に示された基準を確認して

藤原定家『近代秀歌』を読むと「本歌取り」の基準のような内容が示されており、当時の作歌方法が知られて興味深い。「本歌」とすべきは「寛平以往」の三代集等の古歌であるとし、冒頭に記したような句の配し具合に工夫を要するといった趣旨もある。古典における「評論」を読むと云う意味で、歌論そのものを読むことも大きな学びである。「文学史」の講義の範囲は一般的にこうして「読む」ところまでであろう。だが現在の学力観や将来現場で教員となる学生たちに必要なのは、知識のみならず活用できる力である。歌論を読んだ上で「思考・想像・表現」する活かす方略が求められている。と云う昨今の学び方を鑑みて「活動する文学史」講義の内容を模索しているところである。

この日の講義事前課題が、前述した定家の『近代秀歌』の「本歌取り」に関係する記述を読んで理解してくること。その基準に沿って自らは『新古今和歌集』の講義内で学んだ和歌を「本歌」として素材は身近なものを拾って現代的な和歌を創作してくることとした。講義の最初に『近代秀歌』の解説をした後、受講者の作品を板書してもらい、左右1首ずつ歌合形式で自らの歌の魅力をアピールをしてもらった。その後は受講者からの「いいねコーナー」を設けて、アピールした歌の良いところを指摘するという活動対話型で進めた。学生たちは「質問を」と言うとなかなか発言しない傾向もあるが、「いいねをする」というとSNSで慣れているせいか発言する学生が多いように思われる。もとより「質問するのは非難をしている」ように誤った感覚に陥っている傾向は、昨今特にこの国で強くなっており一つの憂いでもある。講義のような学びの場では特に、「質問をしてこそ対象者の発表に敬意を示している」という感覚を持たせたいとは思っているのだが。

季節柄「秋の歌」が多かった
創作主体を物語主人公とする代作も定家の影響か
創ってこそ歌論の奥深い読みができる


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