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耳で聞いてわかる短歌

2019-10-30
「われはもや やすみこえたり」(まんようしゅう)
「しらとりは かなしからずや」(わかやまぼくすい)
「このあじが いいねときみが」(たわらまち・サラダきねんび)

午前中は市内の県立高等学校で開催された公開授業を参観した。高校2年生の「古典」の授業であったが、新たな時代の古典教育を意識した授業方法を前向きに取り入れたもので大変勉強になった。高等学校の古典学習は過剰な文法指導による精読主義が歪めていたと言えるが、初読で細部にこだわらず内容に興味を持って主体的に高校生が読める仕掛けを施した授業の工夫には共感できた。何事も「わかる」という学びの達成感があれば、学習を興味深く進めようという意欲が湧くものである。正午で公開授業参観を終えてすぐに途中のコンビニで簡易な昼食を済ませて大学へと戻る。この日から2回ほどのオムニバス担当(複数教員での講義担当)で「日本事情」という留学生科目が始まった。主にアジア諸国からの留学生が多かったが、16名ほどに「短歌を楽しもう」というテーマでの講義となった。

学生たちはほぼ日本語中級程度の実力があり、日常会話は十分にこなすことができる。だが中国からの留学生は漢字に馴染みがあるが、漢字の多用はなかなか難しい。そこでこの日は僕自身が選歌した古典和歌2首を含め牧水・俵万智から計10首の歌を学んだ。しかも資料にはすべて「ひらがな」表記とし、「文字」ではなく「音声」で味わうことに徹した。冒頭に「一二三四五六七八九十十一十二十三十四」を声に出して読んでもらった。「四」「七」については、読み方が別れる。「し」「よん」・「しち」「なな」は、昇順降順によっても変化するのは日本語母語話者でも同じ。おわかりだと思うが「十四」までを「123+4567+8910+1112+1314」という具合に分割して読むと「57577」の韻律に乗せて読むことができる。この韻律を体感してもらった後に冒頭に記したような短歌を「声」でともに読んでいった。あらためて発見したのは、牧水や俵万智さんの短歌は「音声」で聞いてある程度の内容まで留学生でも理解できるものであること。「そらのあおうみのあお」「サーフボードのきみをみつめる」などは関連させながら、また教室の窓から曇り空が晴れてきて覗いた宮崎の空と遥か遠くの日向灘を眺めながら声で味わう時間となった。

「あしびきのやまどりのおの」なども
声に出して学びたい短歌
次週は留学生たちの一首創作に期待。


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