「めぐりあひて友がやさしき」宮崎の夜
2019-09-19
「めぐりあひて友がやさしき恋がたり酒よ冷えざれ梅寒き宿」(牧水)偶然に酒場で出逢った友
あな心地よや宮崎の夜
一昨日は牧水祭の興奮冷めやらぬ中、夕刻に大学へと戻り〆切原稿の確認。昼間の対談後の懇親会でも酒が振舞われていたが、もちろん僕は車のためにお茶をいただいていた。夜になって母の発案で近所の居酒屋へと行き事実上の打ち上げとなった。店に着くと宮崎に来て以来、お世話になって来た親友夫妻が店のカウンターで飲み始めようとしているところであった。両親が引っ越して来てから1週間、こちらから機会を作ろうと思っていた矢先であったから、夫妻とのただならぬ縁を感じた。酒の場のよさは、無条件に楽しいことである。この夫妻と席をともにすると、ともかく笑うことばかり。利害や打算ではなく、純朴にこころから素顔になれる時間となる。
牧水のキーワードは、伊藤一彦先生が常に指摘しているように「あくがれ」である。今いるところ=「在処(あく)」から離れる=「離れ」が語源である。酒は一時的であるにしても、「在処」から快楽の空間へと容易に誘ってくれる。牧水が「恋・旅・酒」の歌を多く詠んだのは、人間が生きる根源にもつ「かなし」から「離れる」ための所業であったろう。人は一人で産まれ、独りで死んでゆく。この避けがたい真実から、せめてこころの上で逃れるために「あくがれ」るのである。親友がよく語るのは「今を楽しく生きる」こと、世間が社会が隣人がと言っていてもなかなかこころは解放されない。ならば大声で笑って「あくがれ」、人生を謳歌すべきではないだろうか。
牧水の冒頭の一首も「友と酒と」
やさしきは笑いの中にあり
めぐりあひて・・・やさしき宮崎の夜風に身を晒す
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